カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
待春の病室祖母に巻くロッド ほっとするパーマのヒーター冬の朝 早いかな襟足すっきり春近し 先駆けて切り揃えし春待ちの朝 金に染め宙舞う一月勝ち儀式 就活の黒髪は艶失せて冬 髪の毛の挟まる雑誌四温かな 切りすぎた襟足触り日記買う
1月25日のプレバト俳句。 お題は「美容院」。 ![]() ◇ アインシュタイン河井。 待春の病室 祖母に巻くロッド 74点の高評価で1位。 「春待つ」「待春」は晩冬の季語です。 AのB / CにD …の形ですが、 4つの要素を過不足なく配置した描写で、 季語に詩情や希望を託した句またがり。 キスマイ横尾の対句より内容に手応えを感じます。 ◇ 君島十和子。 先駆けて切り揃えし春待ちの朝あさ 髪を切り揃えて春待ちの朝あした(添削後) 原句は破調の字余り。 まず何を切ったのかが分からないし、 「春に先駆けて」も、季語の「春待ち」に重複してる。 全体的に映像の具体性も乏しい。 ◇ 研ナオコ。 早いかな 襟足すっきり 春近し 襟足をすっきり 春近き鏡(添削後) 中八の三段切れ。 上五は描写ではなく作者の心情になってる。 本来、 切れ字の「かな」は下五に置くべきだけど、 この句は詠嘆でなく疑問の終助詞を上五に置いてて、 いまいち俳句の体裁になっていない。 添削のほうは、 句またがりにせずとも、 襟足をそろえ鏡に春近し のような定型に収めるのも可能。 ◇ 梅沢富美男。 髪の毛の挟まる雑誌 四温かな 切り髪の挟まる雑誌 四温晴(添削後) まずは型の問題。 下五に切れ字の「かな」を置く場合は、 途中に切れを入れないのが基本だから、 中七に切れを入れた時点で失敗してます。 この期に及んで初歩的な理解が欠けている。 たとえば、 切り髪の雑誌に残る四温かな とすれば、この問題は解決します。 内容面でいうと、 そもそも美容院の場面と分かるかどうかが疑問。 たんに自分の抜け毛を描いた不潔な状況とも見える。 たとえ美容院の場面であっても、 「知らない誰かの髪の毛が挟まってる」ってのは、 個人的にネガティブで汚らしい印象しか受けない。 せめて「誰の髪の毛か」が分かってれば、 愛おしい気持ちが湧くこともあろうから、 だいぶ印象が変わるのかもしれませんけど。 たとえば、 見開きに吾子の切り髪 四温晴 のようにも出来ると思います。 ◇ 武尊。 金に染め宙舞う一月 勝ち儀式 金髪に変え一月のゴング待つ(添削後) 原句は、 抽象的な表現を駆使した結果、 まったく意味不明な句になってしまった。 さらに、中七で切った場合は、 下五に季語を置くのが基本なので、 型の面でも、ちょっと無理がある。 ◇ 柏木由紀。 ほっとするパーマのヒーター 冬の朝 ほのほのとパーマヒーター 冬の朝(添削後) 中八ではあるものの、 そこで切って下五に季語を置いた基本の型。 ヒーターは冬の季語だし、 作者も暖を取るためにパーマを当てたらしいけど、 まあ、一般的にいえば、 パーマヒーターは季語にならないのでしょう。 添削では、 「ほっとする」という心情表現を 「ほのほのと」というヒーターの描写に代えてます。 ◇ 森口瑤子。 就活の黒髪は艶失せて冬 就活の黒髪木枯に束ぬ(添削後) 面白い俳句ではあるし、 これはこれで成立してると思うけど、 助詞「は」を使う必然性は薄いので、 ふつうに「の」で十分だろうと思う。 そして、 下五を「~して夏」とか「~して冬」と締めるのは、 言うならば「愛なんていらねえぜ夏」的な感じで、 ややキャッチコピー的な安易さを感じないでもなく、 このスタイルを容認したら、 どの季節の俳句も量産できてしまう懸念がある。 かたや添削句のほうは、 気持ちを奮い立たせてる感じがあって、 原句よりもポジティブに改作された印象ですね。 ◇ 清水アナ。 切りすぎた襟足触り日記買う 季語は「日記買ふ」で年末です。 これに対して「日記始」や「初日記」は新年の季語。 たとえば、 「襟足を気にしながら買う」とか、 「襟足を押さえながら買う」とか、 「襟足を隠しながら買う」ならまだしも、 「襟足を触りながら買う」ってのは、やや違和感がある。 つまり、持続的な動作ならともかく、 「触る」のような瞬間的な動作は、 買う行為とは同時になしえない気がします。 …ってことで、 切りすぎた襟足隠し日記買ふ としてみました。 動詞の季語はなかなか扱いにくいですよね。
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最終更新日
2024.05.02 14:20:34
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