カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
前座二年目具のない冷やし中華 空蝉や雷紋消ゆる鉢の底 盆の月ラーメンの香に父偲ぶ らあめん屋外の蝉まで舌鼓 麺の神汗に塗れたかたつむり 味玉の尻に凹みや夏の夕 夜の秋や色紙だらけのラーメン屋 弟のメンマは兄へ盆の月
7月25日のプレバト俳句。 お題は「ラーメン」。
◇ 蝶花楼桃花。 前座二年目 具のない冷やし中華 前座二年目 具のない冷やし中華かな(添削後) 添削句は、 7・7・5で後段の調子を整えてるけど、 二句一章を字余りにしてまで「かな」で締めるよりも、 原句のままのほうが形としては整ってます。 ◇ アンミカ。 盆の月 ラーメンの香に父偲ぶ 盆の月 かのラーメンの香よ父よ(添削後) 例によってリフレインを用いた添削。 まあ、とくに異論はありません。 ◇ 清水アナ。 弟のメンマは兄へ 盆の月 言葉の経済効率のよさが上手く機能しましたね。 お盆に親族が集まって店屋物を取ったのかしら?
◇ 岡田紗佳。 らあめん屋 外の蝉まで舌鼓 店外は蝉 ラーメンに舌鼓(添削後) 梅沢が言ったように、 > ラーメンだけでなく蝉まで食ってしまった みたいな解釈もありえるけど、 ふつうなら、 > 私がラーメンに舌鼓を打つように > 蝉も樹液を吸って舌鼓を打ってる といった解釈になるはずです。 しかし、作者の説明によると、 > 蝉まで「美味しい!」と鳴いてるように聞こえる …という心象を詠んだらしい。 安易な擬人化もさることながら、 自分が意図したことを描写しきれてない。 しっかり聴覚情報に焦点を当てて、 擬人化の要素もすこし加えるとすれば、 ラーメンをすすれば蝉の囃しけり のように書けます。 ◇ ペナルティ・ヒデ。 空蝉や 雷紋消ゆる鉢の底 空蝉や 雷紋あせる鉢の底(添削後) まったくもって意味不明な句! なぜこれが才能アリなの? 字面からは、 > 一方に、蝉の抜け殻があり、 > 他方に、底の雷紋が消えた丼がある …という取り合わせに見える。 そもそも、 作者がどこにいるのか分からない。 ドンブリの縁じゃなくて、 ドンブリの底に雷紋がある理由も分からない。 その雷紋がなぜ消えたのかも分からない。 作者の説明によると、 > 雷紋の消えたラーメンの丼が屋外に捨てられており、 > その底には何故か蝉の抜け殻が入っていた という場面らしいのだけど、 そんな状況はまったく見えてきません。 形式が内容に一致してないからです。 たとえば前回の、 ラッシュ降り消残る皺や 麻スーツ も、形式と内容が不一致だったのですが、 こちらはほとんど誤読の惧れがありません。 しかし、本作を二句一章にしたら、 ほぼ誤読されるはず。 作者のいう場面を描写するなら、 空蝉が雷紋のなき鉢底に …のような一句一章にすべきです。 無論、そう書いたとしても、 「なぜ丼のなかに蝉の抜け殻??」 との謎は残るし、 それこそ梅沢が言ったように、 「蝉まで食ってしまった」ように見えるけど、 それが実景だというなら仕方がない。 まあ、雷紋の描写さえ諦めれば、 捨てられたラーメン鉢に蝉の殻 のように書けるし、 そのほうが不用意な誤読は避けられます。 ◇ 勝俣州和。 麺の神 汗に塗まみれたかたつむり 麺の神と呼ばれて汗にまみれけり(添削後) 字面だけを読むと、 > 一方に麺の神がいて、 > 他方に汗まみれのカタツムリがいる …ということになる。 もっとも、 カタツムリは汗をかかないので、 人間の汗がカタツムリの上に落ちた… という解釈になるでしょうが。 兼題は「ラーメン」だってのに、 セミまで食ってしまったとか! カタツムリが這ってたとか! 気持ちの悪い句が多すぎますね!! しかし、作者の話によれば、 > ラーメンの神様はカタツムリのようにひたむきに前進しつづけた という比喩表現だったらしい。 安易な比喩もさることながら、 これもやはり、 一句一章で書くべきところを、 二句一章にした結果の失敗といえる。 他方の「神」にかんしては、 比喩というよりも尊称だろうから、 引用符などで括ればいいかなと思います。 ためしに、 厨房の汗にまみれる"麺の神" としてみました。 ◇ フルポン村上。 味玉の尻に凹みや 夏の夕 中七の助詞は、 「尻の」とせず「尻に」としています。 食べようとして取り上げてみたら、 卵の底に凹みを見つけた…というニュアンスかな。 タレがしみた茹で卵の色が夕景の色に重なって、 全体的にノスタルジックな情景ですね。 ◇ 梅沢富美男。 夜よの秋や 色紙しきしだらけのラーメン屋 暑さの一段落した夏の夜に、 多くの人々に愛されてきたラーメン屋へ。 全体的に落ち着きを感じさせる情景です。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.31 17:10:02
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