カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
良夜なりフロアを包むアルペジオ 万人の歌声ひとつ名残の月 秋風や歓び舞台へ運びゆく ゆれすすきいつかはフェスと夢見る日 ペンライト振れども散らぬ照紅葉 星月夜六万人の大合唱 靴音にライブの余韻月の坂 行く秋や全国大会入賞
11月7日のプレバト俳句。 お題は「大観衆」。 ◇ フルポン村上。 靴音にライブの余韻 月の坂 靴音に余韻 ライブの果てて月(添削後) 原句のままで十分に素晴らしい出来です。 音楽と熱狂に包まれたあとの興奮の余韻。 それと同時に… ライブが終わってしまった静けさと寂しさ。 そして、秋の夜の肌寒さ。 耳には坂道の自分の靴音だけが聞こえてる。 ひさびさの村上のヒット作かと思いましたが… なぜか先生は「散文的」との理由でボツ。 しかし、 これを「散文的」と言ってしまったら、 ムダに技巧的な句しか詠めなくなりそうです。 添削は二句一章になってますが、 前段の「余韻」と後段の「ライブの果てて」に、 因果関係があると考えるべきか、 それとも、そこに因果関係はなく、 靴音そのものが反響して余韻を生んでるのか、 読み手は解釈に迷うはずです。 ◇ キスマイ横尾。 星月夜 六万人の大合唱 横尾にしては珍しい定型句。 掲載決定でしたが… 村上が「シンプルすぎる」と言ったように、 ちょっと素直すぎるんじゃないかしら? 季語の取り合わせとして、 「6万の大合唱」と「満天の星空」は、 印象が近すぎるといえなくもない。 まして先生がいうように、 「6万のペンライト」と「星月夜」の取り合わせ? …なのだとすれば、 それは二物衝撃でなく、二物相似というべきです。 平場ならギリギリ「才能アリ」でもいいけれど、 永世名人の句としては不足がありすぎる。 ◇ 清春。 良夜なり フロアを包むアルペジオ 奇しくも、 先週の相席スタート山﨑と同じく、 上五を「良夜なり」で切ってますね。 これこそがシンプルイズベスト。 先生が言ったように、 アルペジオの旋律が月光のイメージにも重なります。 強いて難癖をつけるとすれば、 「包む」「響く」などの動詞は不要かもしれない。 たとえば、 大都市の良夜 フロアのアルペジオ のようにも出来ます。 ◇ MINMI。 万人の歌声ひとつ 名残の月 万人の歌は一つに 月のぼる(添削後) 原句は、 歌と心がひとつになったときに、 「この幸福な時間が終わってほしくない」 と名残惜しんでるように見えます。 添削句のほうは、 むしろその高揚感を詠んだ形ですね。 ◇ 山口智充。 ゆれすすき いつかはフェスと夢見る日 いつか我が歌を大観衆へ 秋(添削後) 自分の心情を季語に託してますが 大きな夢を抱いてるわりに、 季語が寒々と枯れてしまってるw 添削のほうは、 心情句だと割り切ったのか、 完全に描写性を喪失してますが… たとえば、 麦の秋 フェスを夢見て弾き語り ぐらいの描写性は込められるはずです。 ◇ 清水アナ。 行く秋や 全国大会入賞 具体性がなさすぎますね。 何の大会だったんでしょうか? もしも金賞を逃したと明記するなら、 季語をことさら悲しげにはせず、 金賞を逃した涙 稲の波 ぐらいの対比にすべきでしょうね。
◇ ゴスペラーズ黒沢。 秋風や 歓び舞台へ運びゆく 歓びを舞台へ 金風の歌よ(添削後) 原句は、 秋風が(観客の)歓びを舞台へ運んでいく …という内容であり、 上五が主語で下五が述語の一句一章ですが、 主語を「や」の詠嘆で切ってます。 こういう句は時折見かけるのですが、 あまり適切な詠み方とは思いません。 形式が二句一章になってしまうからです。 一方、 添削句は観客視点の句になってますが… 原句のままの客観的な視点で、 金風が歓喜をはこぶ大舞台 のようにシンプルに書けると思います。 ◇ 水森かおり。 ペンライト 振れども散らぬ照紅葉てりもみじ ペンライトのごと 夜よを照らさるる紅葉(添削後) 原句は、 > 夜に揺れる無数のペンライトは > 昼の太陽を浴びた照紅葉のようである。 > 昼の紅葉は振れば散ってしまうけど > 夜のペンライトは振っても散ることがない。 …というような内容です。 季語が比喩になってるので、 添削ではその関係を逆転させ、 《照紅葉のようなペンライト》ではなく、 《ペンライトのような夜紅葉》の内容にし、 18音の破調の形に直してます。 しかし、この添削句は一読して分かりにくい。 第一の理由は、 「ペンライトのごと」という比喩が、 どの語に掛かるのか分かりにくいから。 第二の理由は、 (とくに「ペンライトのごと照らさるる」と誤読した場合) 照らすものと照らされるものの関係が入り混じって、 読み手を混乱させる比喩になるからです。 さらに付け加えると、 目的語に動詞の受動態をつけて、 「紅葉が夜を照らされる」とするような構文は、 通常の散文にはありえないので、 それもまた混乱の要因になりえる。 もっとシンプルに書くならば、 灯に揺れる紅葉ペンライトの如し のように出来ます。 ▽過去の記事はこちら https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.11.11 13:29:46
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