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カテゴリ:書評
桐山秀樹「目利き シリコンバレーのスター経営者たちがもっとも信頼する日本人」(日経BP社、1999.10)を読んだ。ノンフィクション作家の桐山秀樹氏が、CTC・伊藤忠テクノサイエンス株式会社代表取締役社長の佐武廣夫氏のシリコンバレーでの活躍を、サン・マイクロシステムズ社のスコットG・マクネリ会長やオラクル社レイモンドJ・レイン社長兼CEO、シスコシステムズ社ジョンT・チェンバース社長兼CEOらのインタビューを元に、シリコンバレーの成り立ちや動向を実話として仕上げた本である。 少々古い本であるので、グーグルやアマゾンは登場しない。だたし知識として、シリコンバレーの地域の内容が非常によく分かる本であるとともに、シリコンバレーにある会社の栄枯盛衰も大変ためになる本ではある。 ただ、この本を読んだ感想としての違和感は、別な点にある。商社としてのCTC佐武氏は、「国産」にはこだわらず、良い製品であれば「シリコンバレー」から日本へ持って帰ることにいささかの躊躇もない。これは、日本の顧客のためにもなろうし、商社としては当たり前のことかも知れない。ただ、国益というものを考えれば、日本の半導体メーカやソフト開発メーカにはたまったもんじゃないと言える。この点は、非常に機微なポイントで、全面的に肯定する気持にはなれない。国内産業育成か、海外の良い製品を使った産業の競争力強化かどちらに重きを置くかによってその価値観としてのスタンスは大きく異なるであろう。 とはいえ、伊藤忠の人材ってすごい人がたくさんいるものである。現在TV放映中の「不毛地帯」の主役壱岐正のモデルは、元伊藤忠会長の瀬島龍三(せじま りゅうぞう)であるし、身近な知り合いの方々もそれぞれそれなりに逸話の持ち主でもある。どうしてこうなるのかは、会社の内部の人間にしか分からないことかも知れない。(評価:星三つ ★★★☆☆) 目利き お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.19 23:12:48
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