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浩一郎は営業職。営業に疲れた時には公園で休憩を取ることにしてる。 そのような中、ある公園で、小さな女の子が目に止まった。 3歳くらいだろうか、足元がまだしっかりしていない。手にはオモチャの携帯電話を持っている。 「もしもし、ハナヨちゃん、元気ですかぁ~、おいしいもの食べましたかぁ~、じゃぁまたね~」 明らかにオモチャの携帯、今の子は何でも本物を欲しがるのと思っていたが、オモチャの携帯で満足している女の子の姿に浩一郎は見とれた。 「誰と電話してたの?」ベンチで雑誌を読んでいた母親が目を上げた。 「今度はね、おとうさんに電話するの」 母親の顔が曇った。女の子の父親は2年ほど前に事故死したのだが、女の子はそれを理解できていないのだ。 女の子はオモチャの携帯電話をプッシュする。 その時、浩一郎の携帯電話が震えた。 「誰からだろう」と画面を見ると、着信画面に「オモチャのケータイ」とある。 まさか、あの女の子のオモチャの携帯電話が発信しているはずはない。 浩一郎が戸惑っている間に、電話は切れた。 「おとうさん電話に出なかったよ~」 「そう、お仕事で忙しいんでしょうね」 (来年につづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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