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カテゴリ:本
以前からこの本を借りていたのだが、途中まで読んで何となく先に読み進めなかったので、随分長い間そのままにしておいた。先日残りを一気に読んでしまったのだが…。
1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の、高山文彦氏によるルポタージュである。事件の犯人、当時14歳の少年Aと彼の家庭や交友関係、一連の事件当時の彼の行動等を細かく調べてある。 当時誰もよそうもしなかった14歳の少年の犯行。この本を読み進めていくうちに、「何で?どうして?」という思いがずうっと頭の中に渦巻いていた。そして読み終わった後も、その思いは一段と強くなり、何とも切ない気持ちだけが残った。 この事件以降も少年少女による恐ろしい犯罪が続いてしまった。そのたびに「何で?どうして?」を繰り返している。 心の教育と文部科学省が、学校が躍起になって指導しても問題は後を絶たない。学校でも家庭でも一体どうやって教育し、本当はまだ純粋である部分が多いはずのこの子達と接していけばいいのか。 どの子も同じように無垢な赤ちゃんで産まれてきたはずなのに、わずか十数年で恐ろしい犯罪に手を染めるようになってしまうのはどうしてなんだろう。家庭環境、親の厳しすぎる躾、いじめなどいろんなそうではないだろうか、という理由が出てくるのだが、本当のところはわからない。 この本の最後に宮部みゆきさんの解説がある。 「人間のなかの怖ろしい部分について、しったかぶりをするのはもうやめよう、恐れ憚ることを思い出そう。それこそが、今いちばん欠けている処方箋かもしれないーー」 確かにそうかもしれない。でもあれ以来続く少年少女のむごたらしい犯罪。このままではいけない、けど一体どうしたら… 考えても、考えてもわからない。 「少年A」14歳の肖像 高山文彦 新潮文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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