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私訳・源氏物語

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June 2, 2009
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  紀伊の守が任国に下って、女たちだけがのんびり過ごしている宵闇のことでした。空蝉の幼い弟の小君が自分の車に源氏の君をお乗せして、また紀伊の守の屋敷へお連れ申したのです。

  どうやら、西の対に住んでいらっしゃる紀伊の守の妹で、空蝉の継娘にあたる軒端荻が来て、空蝉と碁を打っていらっしゃるようです。

 源氏の君は

「碁を打っているとは、女が二人向かい合っているということだな。さてさてそれは見たいものだ」とお思いになって、静かに近づいていらっしゃいました。

 二人の傍には明かりが灯してありました。

 横を向いている女が恋しい空蝉であろうかと、先ずご覧になります。単襲(ひとえがさね)の上に、暗くてよく分からないものの何かを着て、「頭つき細やかに、小さき人の、ものげなき姿ぞしたる」頭の格好がほっそりとして、小柄で、あまり見栄えのしない女なのです。

「顔なども、さし向ひたる人などにも、わざと、見ゆまじうもてなしたり。手つき、やせやせとして、いたう、ひき隠しためり」

  頭ばかりか顔なども目にとまるほどではなく、さし向いに座っている継娘の軒端荻にも見られないように、わざと隠しているように見えます。手は痩せて筋張っていて、それを袖の中に入れて引き隠しているようです。

     *************************

 「ものげなし」は「ものものし」の反対語で、たいしたものではない、とか見栄えしない、貧弱といった意味があります。

  作者は空蝉の容姿を気の毒なほど貶めて描写していますが、それゆえに空蝉が作者本人ではないかと、よく解説されています。私も空蝉は紫式部その人であろうと推量するのですが、それは性格描写や心の葛藤を執拗に、丹念に書きこんでいる丁寧さにおいてそう感じています。






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最終更新日  August 20, 2017 02:52:12 PM
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