私訳・源氏物語
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プロフィール
佐久耶此花4989
「何事も、淡々と」。 06年から源氏物語の女性たちについて書き始めましたが、09年からは畏れ多くも現代語訳を始めてしまいました。病気を得てからは体調に波があるのですが、良い日にはなるべく書き進めたいと思っています。
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西の君も、何となく恥ずかしい心地で西の対に帰りました。 他にあの事を知っている人もありませんので、 小君の姿を見かけるにつけ、後朝の御文があるのではないかと期待するのですが、 一向にその気配もありません。
『ひどい仕打ち』と思う分別もありませんが、戯れ好きな心にはもの寂しいようなのです。
薄情な人も気持ちを抑えてはいるのですが、 浅くはない源氏の君の御心を思い出しては 『一人身の頃の私であったならば、どんなによかったものを』 と、取り返すことはできないのですが、無念に思わずにはいられません。 それで畳紙の隅のほうに、こんな歌を書きましたとやら。
空蝉の 羽にをく露の 木がくれて 忍びしのびに 濡るゝ袖かな
(空蝉の薄い羽に置かれた露。木に隠れたその露のように、 私の袖は人目を忍ぶ涙に濡れています)
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