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私訳・源氏物語

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September 22, 2013
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カテゴリ:源氏物語

[源氏物語] ブログ村キーワード 

ご子息たちを皆引き連れたご威勢もあらまほしく、
上達部などもあまた参集なさいました。

その中でも宰相の中将は他の人たちの様子に劣らずご立派で、
ご容姿も理想的に成長なさり何もかもが整っておいでになります。

宰相の中将は、叔父・内大臣殿の仕打ちを恨めしく思っておいでですので、
お会いするにも緊張なさりたいそう用心深くとりすましていらっしゃいます。

内大臣殿もいつもより意識なさるせいか、目をお止になります。

六条院からもお布施の物が参ります。
まして宰相の君にとっては祖母宮の法事ですので、
何事も引き受けて健気にご奉仕なさいます。

夕方になり皆がお帰りになる頃、花は散り乱れ、霞みが立ちこめています。

内大臣は昔の事をお思い出しになりながら、
優雅に詩歌を口ずさんでいらっしゃいます。

宰相の中将も趣のある夕べの景色に、ひどく気持がしんみりとなすって、
人々が「雨が降りそうですな。早くお帰りになった方がよろしい」と騒ぎ立てるのですが、
じっと物思いに耽っていらっしゃるのでした。

内大臣はその姿をご覧になって
『もしや、我が姫君を恋しく思っているのではあるまいか』
と、宰相の君のお袖を引き寄せて、

「どうして私をこんなにお苦しめになるのでしょうか。
今日の大宮のご法事に免じて、私の罪をお許しくださいませんか。
余命少ない私を相手にしてくださらないならば、
あなたをお恨み申し上げることになりましょう」

と仰せになります。宰相の中将はかしこまって、

「亡くなられた大宮のご遺言でも、『内大臣殿を力とお頼み申し上げるように』
と伺っておりましたが、結婚をお許しくださらぬご様子に遠慮いたしまして」

と申し上げます。

折しもひどい雨風になりましたので、皆先を争ってそれぞれお帰りになってしまいました。
宰相の君は、

『どういうおつもりで、あんな事を仰せになったのか』

と、いつも気掛かりな内大臣家の事ですから、ちょっとした言葉にも敏感になって、
あれこれ考えながら一夜をお明かしになりました。






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最終更新日  September 22, 2013 01:58:18 PM
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