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私訳・源氏物語

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September 11, 2016
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カテゴリ:源氏物語
夏、蓮の花のさかりに、出家なさった女三宮の御持仏の開眼供養をなさいます。

このたびは御念誦堂を建立しようとの大殿のご発願で、
あれこれ用意していらした御道具をお飾り付けになります。

ご仏前に掛ける幡の様子はなつかしく、
唐の錦の格別なものを選んで縫わせなさったもので、
それはみな、紫の上が急ぎ用意をおさせになったのでした。

花机の覆いなどのきれいな鹿の子絞りも可愛らしく、
色艶も上品で、染め付けられた模様は見たこともないほどうつくしいのです。

夜の御帳の帷子の四方を上げて、後ろの方に法華の曼陀羅を掛けたてまつり、
仏前には銀の花甕に、花の色を揃えた丈の高い大きな蓮をお供えし、
名香には唐の百歩の香や薫衣香をお焚きになります。

阿弥陀仏や脇侍の菩薩は小さくて可愛らしく、
それぞれ白檀でお造り申してあります。

閼伽の御道具は際立って小さく、青、白、紫色の蓮の造花を供え、
荷葉を用いた名香には蜂蜜を少なくし、
ほろほろにして焚き匂わせた百歩と薫衣香が一つにまじりあって、
たいそう好ましいのです。

経は六道の衆生のために六部お書かせになり、
入道の宮の御経は大殿ご自身がお書きになりました。

この世でのご縁は薄くとも、せめてこの写経によって現世での縁繋ぎにし、
来世には互いに極楽浄土に導き合うべき心を願文にお作らせになりました。

さらに阿弥陀経も、唐の紙は質がもろくて朝夕の御手ならしには不向きだとて、
紙屋をお召しになり特別に梳かせていらしたのですが、
この春ごろからとりわけ急いで書き給うた甲斐がありまして、
ほんの端の方を拝見しましても、目がくらむほどの出来栄えになりました。

金の罫線よりも、紙の上の墨つきの輝かしさの方が見事で、
軸、表紙、箱の様子は表現できないほどすばらしいのです。

大殿が写経なすった阿弥陀経は、特別に沈香木の花足の机に据えて、
仏と同じ帳台の上に飾られました。





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最終更新日  September 11, 2016 05:01:48 PM
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