9月から今月7日まで、道立近代美術館で展示されているというので
先月行ってきた。
今回の展示物はみなレプリカなのだが、
色鮮やかで精緻な細工が鮮明でとても感激だった。
実は去年の10月、奈良の国立博物館・正倉院展で実物を見てきたのだが、
館内がひどく込み合ってすっかり疲れてしまい、あまり記憶が定かではない。
しかもお目当てだった螺鈿紫檀の五弦琵琶は、
同時開催だった東京の博物館に出張中で見られなかったのだ。
レプリカとはいえ、今回展示されたものは奈良でのものよりずうっと多彩で、
しかも展示品が多かったように思う。
螺鈿紫檀の五弦琵琶は下に鏡が置かれていて、
楽器の反対側が見られるように工夫されていた。
そのおかげで裏面の見事な装飾も見ることができ、
これを抱えたらずいぶん重かろうと思うほど重厚だった。
館内でこの琵琶の音を流してくれていたが、
音楽というより音色を楽しむ楽器だったのではないか、という印象を受けた。
鮮やかな緑色の、上品でセンスのいい鏡は「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡
(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)」。
このきれいな色は何でできているかというと、
宝物のなかで唯一の七宝なのだそうだ。
深みのある緑色の中に紺と金色が施されていて、その鮮やかな美に圧倒される。
装束では、伎楽の呉女がお面を被った格好で、
華麗な衣装をまとった立ち姿が印象的だった。
私は呉女のぽってりとしたかわいらしいお面が大好きで、
法隆寺での聖徳太子没後1400年法要だったかでみられる伎楽の呉女を、
youtubeで眺めて楽しんでいたことがある。
最近ちょっと体調がよろしくないのだが、
まだ数日あるのでもう一度行きたいと思っている。