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カテゴリ:政治経済
記事タイトル: 国家の復権
▼ブログの続きを見る http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12685201003.html?frm_src=favoritemail 時局 8月号に連載「三橋貴明の経世論 第52回 経済産業省の新機軸」が掲載されました。 東京に緊急事態宣言が再発令されそうです。もはや、みんな真面目に「自粛」などしないでしょう。 何しろ、片山さつきが朝生で明言したように、 「憲法上、ロックダウンできない。ロックダウンではないので、補償はしない」 が、今の日本政府なのです。 補償されない以上、我々が従う必要はありません。我々は、生き延びるために、働いて所得を稼がなければならないのです。 さて、FTを買収したためなのかは分かりませんが、最近の日経には頻繁に「真っ当な記事」が掲載され、混乱しています。 経産省の「新機軸」で明らかにされた、「国家の復権」的な産業政策についてです。 『技術革新めぐる「国家の復権」 上級論説委員 西條都夫https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73522850S1A700C2TCT000/ 過去40年続いた民間主導の経済パラダイムが転機を迎えたのだろうか。米バイデン政権は温暖化対策や半導体のサプライチェーン強化に向けて巨額の公的資金を投入する。欧州や中国でも国家がイノベーション創出に関与するのは日常茶飯だ。日本も経済産業省の一部に政府の主導する「産業政策」の栄光復活を模索する動きがある。(後略)』 イノベーションと言えば、アップル社のスティーブ・ジョブズが礼賛されています。ジョブズは確かに偉大な経営者でしたが、アップル社のコア・コンピタンスは、 ・政府が開発した技術の応用技術 ・消費者視線で、製品のデザイン重視 ・ジョブズのマーケティング能力 であって、iPhoneやiPADに使われている技術の殆どは、アメリカ政府の財政支出により開発されたものです。 インターネットはDARPA(国防高等研究計画局)、マイクロプロセッサもDARPA、マルチタッチスクリーンはアメリカ国立科学財団など、クリックホイールは欧州原子核研究機構など、DRAM内蔵はDARPA、リチウムイオン電池はアメリカ合衆国エネルギー省、液晶画面はアメリカ国防総省、アメリカ国立科学財団、シグナル圧縮はアメリカ陸軍研究室。 アップル社の製品で使われている技術の大本は、そのほとんどが「アメリカ政府」で開発されたものです。 日経の記事にコロナワクチンの例が載っています。 ファイザー製薬(及びビオンテック)のワクチンは、19.5億ドル、ドイツ政府3.75億ユーロの支援により、生産されています。さらに、モデルナ・ワクチンへのアメリカ政府の支援は25億ドル、J&Jワクチンは15億ドル。 「画期的なイノベーション」のためには、リスクや不確実性を乗り越えられる「政府の力」が必要である。という、「現実」が、ようやく認識され始めている。 ちなみに、リスクとは、不確実性の一部になります。別の書き方をすると、不確実性はリスク以外の要因を含みます。 ケインズは、不確実性について、 「私が不確実性について言わんとしているのは、ヨーロッパで戦争が起きる可能性はあるのか。銅の値段や二十年後の金利はどうなるのか。新技術がいつまでもつかなどのレベルの話をしているので、これらについては、科学的に確率を計算する方法は全くない。全く知る余地がないのである」 と、語っています。 経営上のリスクは、その規模を事前に限定することが可能です。企業経営者が100億円の工場を建設したとして、そのリスクは「100億円規模」で収まります。 無論、直接的な工場建設費用以外にも、諸々の運転資金が必要であるため、プラスアルファの損失が出る可能性はあります。それにしても、100億円の設備投資をした結果、1000億円、2000億円の損害を被ることはあり得ないのです。 それに対し、不確実性による損害規模は、事前に特定しようがなく、同時に限定もされない。 今回のコロナ禍という非常事態に因る損害規模は、事前に特定しようがなく、さらには未だに損害が拡大しています。 台湾有事が勃発したとして、TSMCの半導体生産が止まると、どうなるのか。といった「不確実な未来」に、一企業のみで対処することは不可能です。 だからこそ、政府が主導しなければならない。 ========================
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Last updated
2021.07.09 10:41:43
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