夏の“置きみやげ”!?
母が驚いたように、さけんだ。「なんで、そんなに黒いの? 真っ黒!」なにを今さら…。「ちょっと比べてみ!」母は、色白で焼けると真っ赤になるタイプだ。そんな母と比べるまでもない。「真っ黒~。ちゃんと濃い目のお化粧しないから。顔も、真っ黒だよ」真っ黒、真っ黒といわれなくても、最近、腕がいやに黒くなったなと自覚していた。「してるもん。uvカットもちゃんと塗ってるもん。日傘もさしてたもん」「お父さんと比べてみ!」対象は、父に代わった。「お父さんより、黒い~」絶叫する母。「お父さんは、真夏にペンキ塗りしてたんだよ。屋根の上で!」機関銃のように、次々と発する母。「お父さん、長袖着てるじゃん」「おまえも長袖着て歩きなさいよ!」もう今さらおそい。それに暑くて長袖など着ていられない。「それにしても、黒いね。クロスケだね、クロンボだ」ま、失礼な…。「かーちゃんなんて、“白ブタ”だぁ~い!」(注:クレヨンしんちゃん風に)電話で、hiroくんにこのことを話した。「Kayoちゃん、お母さんに似てないもんね」「お父さん似だもん」「そのお父さんより、黒いんだもんね。Kayoちゃん、“クロンボ”オレは“シロンボ”!」hiroくんと電話する時間は、深夜近い。「なんかおなかすいたな~」「食べればいいじゃん」「夜、食べちゃいけないんだよ。デブになるから」「Kayoちゃん、デブになったら“黒ブタ”になっちゃうもん」hiroくん、自分の言葉にうけて、自ら笑う。わたしが“黒ブタ”になる前に、最近、おなかが出てきてちょっと太ってきたhiroくんが、“白ブタ”になる方が早いと思う。まあ、それにしてもよく焼けた。脚はジーパンをはいているから白いのに、腕はこんがりきつね色。いや、こげパン色かも…。腕時計のベルトの部分だけ、手首に白い線ができている。夏はとんでもない“置きみやげ”をして、まもなく過ぎ去ってゆく。