テーマ:哲学・思想(191)
カテゴリ:哲学・思想
【送料無料】 理由と人格 非人格性の倫理へ / デレク・パーフィット 【単行本】 デレク・パーフィット「理由と人格 非人格性の倫理へ」 勁草書房 訳 森村進 1998年刊 先週以来、手に取っていた本。 索引除いて、上下二段組みで、750ページです(+_+) 学生の頃、ゼミの先生に「絶対読むように」と勧められたものの、 渡された原著のコピーが、ちんぷんかんぷん・・(>_<) 気になっていましたが、20年越しで、 まあ、なにはともあれ、自分の中で一区切りつけることができました 森村さんによる訳者解説による パーフィットの「人格の同一性」についての要約・・ ≪「人格というものは物理的・心理的状態から独立して存在する実体ではない」、 「人格の同一性はオール・オア・ナッシングの確定した問題ではない」、 「人格の同一性は、R関係(心理的継続性と連結性)が分岐しない形で成立するという ことに他ならない」、 「重要なのは人格の同一性それ自体ではなくて、R関係の方である」などの主張を行う。≫ 人格の同一性を心理的状態に還元するという見解・・ パーフィット自身は、<還元主義>と呼んでいる。 現代倫理学の中での「人格」に関するパーフィットの位置づけ、 なるものが紹介されています。 横軸に、「実践的な人格の観念の社会性/個人性」 ・・人格の観念は社会的なものか、個人的なものか?、 縦軸に、「人格の別個性の重要性」 ・・人格の別個性は重要か、需要でないか?、 をとる。 人格は、社会的なものであり、個性は重要ではない ・・ 全体主義 人格は、社会的なものであり、個性は重要である ・・ 保守的共同体主義 人格は、個人的なものであり、個性は重要ではない ・・ パーフィット、 古典的功利主義 人格は、個人的なものであり、個性は重要である ・・ リバタリアニズム 中位 ・・ 福祉リベラリズム、ロールズ 序・・ ≪行動には理由があって、理由の中には良否や強弱の差があるということを われわれは知っている。≫ ≪われわれは個別的な人間(particular people)である。 私は私の生を生き、あなたはあなたの生を生きる。 これらの事実は何を含んでいるのか? 私を生涯を通じて同一人物たらしめ、 そしてあなたと違う人物たらしめるのは何か? そしてこれらの事実はどこが重要なのか?≫ 31 ≪事情が変わるにつれて、われわれは道徳についての考え方を変えなければならないかもしれない。 ・・ <常識道徳>は小さな共同体の中で最もうまく働く。≫ でも、もっと大きな共同体においてはどうか? ≪「私の行為は他の人々に害を与えるだろうか?」と問うだけでは足りない。 たとえその答えが<ノー>だとしても、私の行為は他の人々への影響のゆえに やはり不正かもしれない。 私は「私の行為は、一緒になって他の人々に害を与えるであろう行為の集合の一部だろうか?」 と問うべきである。≫ 41 ≪<囚人のディレンマ>において、<自己利益説>は直接的に集団的に自己破壊的である。≫ みんなが自己の利益を追求すれば、全員にとって悪い結果となる。 45 ヒュームの悪名高い文章なるもの・・ ≪「私の指にかすり傷を負うよりも全世界の破滅を選ぶことは、理性に反しない。」≫ ・・私たちはが、途上国の人々や、未来の子どもたちにしていることも同じかもしれない。 54 ≪(Q1)「なぜ私は他人の一層大きな幸福のために自分自身の幸福を犠牲にすべきなのか?」≫ 62 ピグーによると、 ≪・・われわれは「遠くのものを見る能力における欠陥」をもつ・・≫ 近視眼、無思慮で、先見の明がない。 67 未来へのバイアス・・「われわれの未来の不存在」・・加齢や死 ≪私は未来へのバイアスがわれわれにとって悪いものだと信じているから、 われわれにこのバイアスを持つべきでないと信じる。≫ 73 ≪心理的連結性(psycologocal connectedness)とは、 特定の直接的な心理的連結があることである。 心理的継続性(psycologocal continuity)とは、 強い連結性の重なり合った鎖があることである。≫ そして、連結性の方がより重要である。 90 ≪「あなたは自分の自己同一性を失うだろう。 しかしそれには少なくとも二つの方法がある。 死ぬことが一つ、分裂することがもう一つである。・・」≫ 95 ≪私は「私は死ぬだろう」と言うかわりに、 「これらの現在の経験をある仕方で結びついている未来の経験はないだろう」 と言うべきである。≫ ≪私の死とは、ある時以後私の現在の経験とある仕方で関係している経験が 起こらなくなるという事実にすぎない。 これがそれほどまでに重要なことでありうるだろうか?≫ ・・まあ、間違いなく普通の人にとっては大問題なのですが。 118 ≪われわれは<還元主義者>になるべきである。≫ 150 ≪私は、われわれの行為の理由は様々の仕方で一層非人格的になるべきだと論じた。≫ ≪大都会の生活は人を悩ませるほど非人格的である。・・ 泥棒をつかまえるには泥棒が必要なように、非人格性の悪影響を避けるためには 非人格的な原理が必要なのである。≫ <目次> 1 自己破壊的諸理論 (間接的に自己破壊的な諸理論 実践的ディレンマ 道徳数学における五つの誤り 直接的に自己は快適な諸理論 二つの可能性) 2 合理性と時間 (“自己利益説”に対する最善の反論 完全な相対性への訴え 時間への異なる態度 われわれはなぜ“自己利益説”を斥けるべきなのか) 3 人格の同一性 (われわれは自分自身を何であると信じているのか われわれは自分たちが信じているものではない。それはいかにしてか われわれの同一性は重要なことではない。それはなぜか 重要なこと 人格の同一性と合理性 人格の同一性と道徳) 4 未来の世代 (非同一性問題 いとわしい結論 ばかげた結論 単純追加パラドックス) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.10.08 21:18:47
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