カテゴリ:音楽
藤野栄介「指揮者の知恵」(学研新書) 学習研究社 2010年刊 ≪本来オーケストラコンサートの目指すべきところを簡単に言えば、 作曲家のビジョン・想念・感情などを、 指揮者・オーケストラを介して聴衆に深く味わってもらうことなのです。≫ 「正確で的確なアンサンブル」は、必要条件にすぎない。 カラヤンは、チャイコフスキーの『交響曲第6番 悲愴』を、6回も録音した。 ≪これは、曲の解釈が時代や指揮者自身の成長・変化によっても異なることや、 オーケストラが違えば同じ曲でも演奏するたびに違う表情をもつということが 前提となっています。 指揮者が圧倒的な創造意欲というものをもっていれば、 同じ演奏が繰り返されるということはまずありえないことなのです。≫ その違いは、 1.基礎的能力や指揮法などのアンサンブルを合わせる能力 2.楽曲を読み取る力(スコアリーディング力) 3.オーケストラをエンロールする(巻き込む)力 4.何が何でも目指すレベルに導いていくという意志の強さ、実行力 ≪指揮者という職業は、きらびやかで「絶対君主」的なイメージとは裏腹に、 厳しい視線にされされ続ける職業だとも言えます。≫ ≪指揮者は、オーケストラの音を聴いてはいけない!?≫ オーケストラの音を聴くと、テンポが遅くなり、 また、次の指揮が遅れてしまう。 指揮者は、楽曲に対する確固たる「ビジョン、想念」を手放してはならない。 ≪熟練した指揮者は、オーケストラを、 「理想の音楽を奏でるために、自らの意志をもって座っている仲間」として 尊重するようです。≫ ≪・・指揮をするには、方法論や技術よりも、 どれだけたくさんの深い表現したいものがあるのか、そしてその想いの強さの方が 重要なのです。≫ <目次> 第1章 指揮者とオーケストラの基礎知識 (クラシック音楽の面白さとは? コンサートとCD録音 ほか) 第2章 リハーサルで、指揮者がすべきこと (指揮者を迎える「厳しい目」 指揮者は、オーケストラの音を聴いてはいけない ほか) 第3章 オーケストラを、「一つの生き物」にするために (オーケストラは、霊的集団!? オーケストラと指揮者がつながるとき ほか) 第4章 指揮者のカリスマ性 (カリスマとは、「迷わないこと」 休符に音符を感じる指揮者 ほか) 第5章 コンサートが始まり、指揮者は「瞬間」に生きる (「妥協はするな、しかし柔らかくあれ」 心配や罪悪感を捨て、「今、このとき」をコントロールする ほか) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.07.19 14:48:00
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