カテゴリ:音楽
いただいたパンフに書かれていたベートーヴェン交響曲第5番「運命」に対する
久世武志さんの解説コメントが、丁寧でとってもよいです。 ≪「この曲がフランス革命の影響を受けていることは確かです。 すなわち、ベートーヴェンは革命直前の恐怖政治の真っ只中にいて - そのような恐怖が当たり前の中にいたので - 『自由』というものを知らず、だからこそこのひどい圧政の中から解放 されたいということを音楽で真摯に表現しようとしたのだと考えられます。 革命の時代の中で鎖につながれているがごとく不自由な状況にある人々の 『自由になりたい』というエネルギーが、冒頭の《タタタ・ターン》という モティーフで全曲を通じて表現されています。 戦いに「勝つのだ」「勝った」というエネルギーよりも、圧迫されているのを はねのけようという意味合いの方が強く感じられます。 第一楽章の冒頭は、鎖に繋がれているのをもがきながら、怒りで鎖が震えている ように鳴っているようです。 第二テーマ(ソドシドレラ・ラソ)は、この絶望の中で『確かな希望』を見るようです。 それは、この全ての恐怖が、もし我々のこの場所になかったとしたら、どんな素敵な気分や 景色なのだろう、という希望です。 第二楽章のテーマは『祈る人々』です。 それは当時教会に行くことを許されていなかった多くの民衆の自由と平和への祈りです。 変奏後の真ん中の部分(ドーミソ・ドーファラのあたり)は神はいらないから 自分たちで何とかしようという意志が読み取れます。 第三楽章は勝手で無益な学生の革命運動とそれを抑える一般民衆の 「待て、時機は必ずやってくる」という意志のせめぎ合いが描かれています。 またこの楽章の終わりから次の楽章へのティンパニーの長いソロが続くブリッジの部分は、 「今こそ、革命の時だ!」というエネルギーに満ちあふれています。 第四楽章はベートーヴェンが書いた唯一の扇情的で、まるで野外音楽のようなものが 描かれています。大勢の民衆が集まっている前で、バルコニーに飛び出し、 何か立派で崇高な事-”自由と勝利”-を言っているようです。 『革命への扇動』のためにこの楽章でオーケストレーションに工夫を凝らしています。 それまでの交響曲史上新たな楽器、すなわちピッコロ、コントラ・バスーン、トロンボーン を使用し、当時の人々になじみのある軍楽隊の響きを作り上げ、勝利を宣言しています。 ちなみにこの曲のフランス・パリでの初演の際に「皇帝は去れ!」と聴衆が叫んだらしいです。 牢屋から解放されるがごとく、牢が開け放たれる描写(ドーシラ・ソソソ)を経て、 トロンボーンが高らかに勝利を歌いあげる箇所はベートーヴェン自身が 『la Liberte』(自由)という言葉をメロディーの下に書き添えています。・・」≫ 日時:2013年 9月23日(月・祝) 14:00 開演場所:なかのZERO大ホール 合唱:METT合唱団 指揮:久世武志 曲目: ヴェルディ/「ナブッコ」序曲 グリーグ/「ペールギュント」第1組曲 休憩 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調 op.67「運命」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.09.28 10:16:33
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