カテゴリ:メンタルヘルス、モチベーション
榎本まみ「督促OL 修行日記」・・感情労働のサバイバル法 文藝春秋 2012年刊 新入社員のN本さんが配属されたのは、 クレジットカード会社のキャッシングの督促部門。 東京郊外にあるコールセンターに、 朝7時に出社し、督促の電話をかけることが許されている8時から、 終電の夜11時まで、1時間60件のペースで電話をかけまくる。 慣れないうちは、食事もとれず、トイレにもいけないので、 紙パンツを穿いていた、といいます(>_<) いまどきのブラック企業ならぬ、ブラック部門だった、と。 督促の電話を喜んで受ける人などおらず、 開口一番、怒鳴られることがほとんど。 普通、大きな声を出されると、動物の本能として、 身体が硬くなり、頭が真っ白になってしまいます。 でも、そんな時でも、とっさに切り返しができるようにするため、 前もって、言うべきことを付箋に書いておくこことともに、 自分で思いっきり足をつねったり、足の小指を片方の足で思いっきり踏む。 下半身に刺激を与え、グッと足に力をいれることで、金縛りがとける。 そして、即座に反撃できるようになる。 「お金を返して」と言うのではなく、 「何日に払える?」 「いくらだったら払える?」 と、質問を変えてみる。 相手が不快に思っていたら、なにはともあれ、謝ってしまう。 「先にごめんなさい作戦」をする。 その後、キャッシングの督促部門から、ショッピングの督促部門へ異動となる。 はるかに楽になったように思えましたが、 実際にわかったのは、「人の消費や使い捨てのような労働」だった。 同期入社の同僚や、パートの人が、次々にうつ状態になって辞めていった。 このような督促やコールセンターのような仕事を、 「感情労働」という指摘、目からウロコでした。 仕事の形態には大きく3つある。 肉体労働、頭脳労働、そして、感情労働。 体を使って仕事をしてお金を得るのが、肉体労働。 頭を使って生み出したアイデアなどを賃金にかえるのが、頭脳労働。 自分の感情を抑制することでお金を得るのが、感情労働。 つまり、「心を売る」労働。 A.R.ホックシールド『管理される心』 ≪感情労働をする人々は、たとえお客さまに一方的に罵詈雑言を浴びせかけられたとしても、 反論せず黙ってそれに耐え、相手のプライドを満たし満足させられることを求められる。 感情労働は心の疲労の問題が深刻なのだそうだ。 肉体労働や頭脳労働の疲れは休息を取り、体や頭を休ませることによって解消されるけれど、 感情労働による心の疲労は、一日寝たからといって解消される保証はない。 こうして心に疲労を蓄積させた結果、感情労働をする人が心を病む確率は他の労働よりも高い。≫ こんな感情労働にどう対処すればよいか? 一つは、「私は謝罪するプロだ」作戦をとった、といいます。 謝ることは、プライドを傷つけます。でも、謝ることのプロであるなら、 謝ることによってプライドは傷つきません。 もう一つは、『悪口辞典』を書くこと。 日々の罵詈雑言を、もれなく、自分用の『悪口辞典』に記録する。 悪口を悪口と認識しなければ、心にダメージを受けることはなくなる。 悪口のフィールドワークをするつもりで臨む。 そして、悪口を10個溜まったら、豪華な夕食をしにいく、とか 自分へのご褒美をするのがよい。 プロマネの仕事を振り返ってみると、 肉体労働2割、頭脳労働3割、感情労働5割ぐらいな気がします。 PMBOKには、プロマネの業務の8割は、コミュニケーションとも 書かれていますが、そのうちの大半が感情労働だとすると、 もう少し割合が高く6割(業務の8割×80%)ぐらいかもしれません。 ブラック部門といってあきらめるのではなく、 そこでも生き残り方を模索し、ノウハウとし、 メンバーを鼓舞するという現場主義のスタンス、共感できます。 ・・でも、さっさと逃げ出す人が、大半だろうな~、とも思います(T_T) <目次> 01 ここは強制収容所? 02 “ブラック部署”の紅一点! 03 ストーカー疑惑と襲撃予告 04 謎の奇病に襲われる… 05 自分の身は自分で守る 06 N本、大抜擢される 07 自尊心を埋める 08 濃すぎる人間修行 09 センパイ武勇伝 10 合コンサバイバル 11 仕事からもらった武器と盾 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.11.10 09:06:02
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