言語力を磨く その2
前回の続きを。国語ができない生徒が本当に増えていると感じるのは、おそらく塾を生業としている方なら日々実感していると思う。特に危機感を覚えるのは「語彙力の少なさ」これが原因で成績が伸びない子がなんと多いことか。ここからは経済評論家の勝間和代先生の言葉を借りながら、塾生にわかってほしいことを書いていきます。言語力をつける基本となるものは「なるべく多くの知識・説明を知る」こと。話し言葉であれ書き言葉であれ、ジャンルを問わず、数多くの語彙を知っていれば、その組み合わせによって、自らが他の人に伝えたい概念をより明瞭に、正確に、より的確に伝えることができる。日本語であれ、英語であれ。じゃあ最も効率良く、確実に語彙力を身に付ける方法は何か。それはやはり「読書」だろう。「読書」というと小説や難しい論説文を読むことと思われがちだが、私個人としては、その他に教科書、新聞記事、雑誌記事(ファッションなどの趣味の雑誌も含む)、漫画なども様々な知識が得られる読書だと思っている。もちろん誰かと直接会って聞くのもいいけれど、本を書くような専門家や知識を兼ね備えた人に会うというのはなかなか難しい。ならば書店や図書館に行って自分の気に入った本を探して読むほうが、早く確実に、考えたい課題、知りたい知識、知りたい技術、知りたい言葉が手に入る。「読書」というのは、ただなんとなく字面を追っているだけでは意味がない。読むことで、言葉を知り、言葉が表すその著者の世界観を知る。その繰り返しによって、本来自分では経験することが難しい他者の体験を疑似体験して新しい知識を身につけ、それを人に説明できるようになる。そしてその新たに手に入れた言語によって様々なものをつなぎ、想像し、仮説を立て、考え方を紡いでいく。その材料になるのが読書である。世界観を広げ、新しい考え方を生むために読書をする。言うなれば読書の役割は、概念的なことを学ぶことである。大学入試改革で将来育成しようとしている人材はこのような知識を兼ね備えた人間なのではないかと思う。だからこそ私の普段の授業、例えば高校国語では、問題文のテーマ内容を題材にしながら、著者の考え方、現在の事象に置き換えるとどういうことかなど、問いに直接は関係ないとしても、後々役立つものを提供したいと授業の中に取り入れている。今現在興味がないことであっても、授業をきっかけにほんの少しでも関心が沸いてくれればという願いを込めて。他教科でももちろんそう。数学であれば平方根は自動車関連会社の設計などでも使われているし、三角比であれば測量や建築の分野で用いられる。もしかしたら将来そんな分野に足を踏み入れるかも知れない。いま勉強していることは、すべて将来につながっていると思うと、勉強する姿勢もすこしだけ変わるかも知れない。何だかまとまりのない内容になってしまった(笑)この塾を通じて、塾生が少しでもいろんなジャンルに興味を持ち、自分なりの意見が言える、そんな人間に今よりほんのちょっとでも成長してくれたら、この塾を開いた意義もあるんじゃないかと今はそんなふうに思っている。