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Dec 21, 2018
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カテゴリ:映画
youtubeで「エリザベート-愛と死の輪舞-」を視聴。

元々はウイーン発のミュージカルで宝塚が上演権を手に入れて舞台化。今年も月組で上演してしている。宝塚版の初演から数年後にオリジナルと宝塚の折衷版と言える東宝版も上演。東宝版は来年6~8月に上演するとのこと。

今回見たのはトート/一路真輝、 エリザベート/花總まりの1996年宝塚雪組公演版。

<プロローグ>
エリザベート暗殺犯のルイジ・ルケーニ(轟悠)は死後の世界で裁判にかけられていた。裁判官に対して「動機は愛、黒幕は死だ。なぜ殺したかって?彼女自身が望んだんだ!」と意味不明な発言をするルケーニ。彼はエリザベートと同じ時代を生きた人々の亡霊を呼び出し、エリザベートについて語り出す。

<少女時代>
 少女時代のシシィ(エリザベートの愛称)は父・マクシミリアン公と自由気ままな生活を送っていて、堅苦しいしきたりとは無縁の生活を送っていた。ある日親戚の集まりから逃げだして木登りをしていたシシィは誤って転落。そこで黄泉の国の王・トートと出会う。
 一方・・ホーフブルク宮殿。オーストリアの若き皇帝・フランツ・ヨーゼフ1世はハードワークに追われていた。ある日「自由」と言っただけで死刑囚となった男の母親が現れ、減刑を要求するが、フランツ・ヨーゼフの母・ゾフィー大公妃の進言を受け入れて要求を却下する。
(1848年に起こったフランス2月革命の余波で、ウィーンでも3月革命が勃発、宰相メッテルニヒが失脚、皇帝フェルディナント1世(生来病弱でバカ殿の類だった。退位後も病弱だったのに20数年生きて天寿を全うしている)が退位する事態となった。革命は鎮圧されたものの、その影響を押さえ込むためゾフィーは当時18歳の息子フランツ・ヨーゼフを次期皇帝として即位させ、反君主制的な動きを弾圧していた)
大臣からクリミア戦争の情勢についてロシアと手を結べきと助言されるが、ゾフィー大公妃は「戦争は他国に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」というハプスブルグ家の家訓を持ちだして中立を保つべきと言い、フランツにはお見合いに出席するべきと指示を出す。

<お見合い>
温泉郷・バートイシュルの別荘でフランツ・ヨーゼフとへレーネ(エリザベートの姉)のお見合いが行われようとしていた。ところが、フランツはへレーネと同行していたエリザベートに一目惚れ。今まで母に従ってきたフランツは母の意向を無視してエリザベートと結婚することを決意するが、エリザベートは結婚生活に不安を感じていた。

<挙式>
1854年4月24日午後6時半、ウィーンのアウグスティーナー教会で結婚式を挙げたフランツとシシィ。黄昏時の結婚式と不吉な感じ。「結婚はあなたの意志であるか」との問いに、エリザベートは「はい」と返答する。するとその声は教会内に何度もこだまし、いつとはなしに教会の鐘が打ち鳴らされる。黄昏時に不気味に鳴り響く鐘の音はまるで、この結婚がハプスブルグ終焉を意味するようだった。

<死の舞踏>
数日後、シェーンブルン宮殿で宮廷舞踏会が催されていた。マクシミリアンは堅苦しい宮廷生活がエリザベートの心をすり減らしてしまうのではと心配し、ゾフィー大公妃はエリザベートはお妃には向かないと苦言を漏らす。舞踏会の席でも周囲の人々がエリザベートの事を噂していた。
エリザベートはフランツとワルツを踊るが、突然トートが現れ、「最後のダンスは俺と踊る運命なのだ」と言い残す。

<新婚生活>
新婚夫婦だというのにフランツとのすれ違いが生じたエリザベート。フランツは国の政治に忙殺されてなかなかエリザベートに会うことが出来ない。一人残されたエリザベートを待っていたのは厳格なゾフィー大公妃によるお妃教育。ハプスブルグ家の伝統を守れというゾフィーに対し、自由奔放に育ったきたエリザべートにとってはお妃教育は苦痛でしかない。エリザベートは夫に助けを求めるが、所謂「マザコン息子」であるフランツは「母の言う通りにすることが君のためにもなる」と取り合おうとしない。
 エリザベートは「私は誰の所有物でもない、私は私だけのもの」と、姑の言いなりとなり、宮廷に飼い慣らされることを拒否する。

<嫁姑戦争>
お世継ぎを作れとゾフィーに言われたエリザベートは懐妊するが、生まれたのは女子。さらにその子は祖母と同じ「ゾフィー」と勝手に名付けられたうえ、ゾフィーに取り上げられてしまった。(さらに次女(ギーゼラ)、長男(ルドルフ)も生まれてすぐ母から引き離されてしまった)
元々ヘレーネをフランツのお妃にと思っていたゾフィーはエリザベートにいい感情を持っていなかった。
ある日革命の機運が高まっているハンガリーを訪問することになった皇帝夫婦。ハンガリーではエリザベートは熱烈な歓迎を受ける。

<最後通牒>
 1865年のある夜、宮殿のエリザベートの鍵のかかった寝室の前では、皇帝が扉を開けてほしいと妻に呼びかけている。それに対しエリザベートはルドルフの現状をフランツに話す。
ルドルフがスパルタ式の教育*を受けていることは虐待だとフランツに訴えるエリザベートは「ルドルフの件は私に任せて欲しい。母(ゾフィー)か私かどちらかを選んで」と最後通牒を付きつける。しかし、あくまで母親への忠誠心を崩さない夫の態度に彼女は絶望する。そしてトートが彼女を誘惑しに来た。しかし、エリザベートは宮廷での自由を手にするためなら自らの美貌さえ武器にしてみせると、彼の誘惑を拒絶する。
*祖母ゾフィーがつけた教育係によってむち打ち、冷水シャワー、過酷な運動と軍隊式スパルタ教育を受けた。ルドルフの近くで空砲を撃ったこともあった。

<市民生活の裏で>
 ウィーンの中央広場ではミルクの配給を求める市民が集まっている。何故ミルクがないのか詰め寄る市民をルキーニは、「皇后が横取りしてミルク風呂に使っているからだ」と扇動する。
 宮殿では・・エリザベートの下にミルク風呂用のミルクが運ばれてきた。ここでエリザベートの美容・ダイエット法が話題に出てくる(髪を洗う時は沢山の卵とコニャックを使ったシャンプーで髪を洗う、イチゴをすりつぶしたパック、子牛の肉のパック等・・)。
さらには食事も細々としており、一日の大半を体操や乗馬に費やすこともあった(実際にエリザベートが使用した体操器具が存在する)
 しばらくして、皇后の寝室の前に皇帝が現れる。彼は突然の訪問に驚く女官たちに下がるよう命じると、衝立越しに妻に語りかける。彼は「統治者は自らの感情を抑えなければならないが、君を失うくらいなら唯一の掟をも破れる」と、エリザベートの美貌の前に敗北を認め、母親ではなく妻を選び、彼女の要求をすべて受け入れることを決める。夫の言葉を聞き終え、姿を現したエリザベートは有名なヴィンターハルターの肖像画で描かれたエリザベートそのものであった。

<オーストリア=ハンガリー二重帝国成立>
ブダペストの大聖堂前は、フランツ・ヨーゼフのハンガリー国王としての戴冠式を祝う人々で溢れかえっていた。「妥協政策(アウグスライヒ)」の立役者であるエリザベートをハンガリー国民は熱狂的に迎え入れるが、ルキーニは群衆の前でトランクを広げ、記念品の即売会を始め、「そんなものはまがい物だ」と切り捨てる。

<一人ぼっちのルドルフ>
熱病にうなされるルドルフは真っ暗の部屋の中で一人寒さに震え、母にそばにいて欲しいとつぶやく。エリザベートはゾフィーが用意した教育係を罷免し、自由主義思想を持つラトゥール教育係につけとことからルドルフはリベラルな考えを持つようになった。自由な環境を与え、苦しみから解放してくれた母への感謝の念を生涯忘れなかったが、当のエリザベートはゾフィー大公妃に勝ってからは宮廷と距離を置くようになり、旅ばかり続けるわ、ハンガリーのゲテレー城にいることが多くなる。
 一人ぼっちのルドルフは母親を慕っていたが、母は息子の気持ちに答えようとはしなかった。そこに現れたトートをルドルフは慕うようになる。

*1867年に成立したオーストリア=ハンガリー帝国の思想基盤となったのは自由主義思想であるが、その思想を支えた政治家や教育関係者と親交の深かったエリーザベトが付けた教育係はヨーゼフ・ラトゥール・フォン・トゥルンベルクであり、彼が選抜した教師のほとんどが、多かれ少なかれ何らかの形で自由主義との関連を持っていた。このことが、成人後もルドルフが自由主義を信奉し、自らの出自にもかかわらず貴族に対して批判的な態度を取ったことの原因である。

<魂の自由>
公務にはめったに現れず周囲から批判されていたエリザベートだが、病人、障害者に対する慈善活動には積極的だった。ある病院を訪れたエリザベートは自分が皇妃だという精神病患者と出会う。結局何一つ自分が望むものは手にいれられていないことに気づかされる。

<ホーフブルク宮殿>
 ゾフィー大公妃と近臣はエリザベートの影響力が自分を脅かしかねないと話している。ゾフィーは皇帝に愛人を用意しようと企む。*
 体操室で運動中に倒れたエリザベート。医師からダイエットのし過ぎと言われるが、医師はトートが化けた姿だった。トートはエリザベートを誘惑するが、彼女は皇帝との婚約の証を首から外すと、この裏切りをむしろ宮廷とのしがらみを絶つために夫が自分に与えた救いなのだと受け取る。そして以後、彼女はウィーンを離れ、旅から旅への流浪の生活を続けることになる。

*フランツ・ヨーゼフ1世にはカタリーナという愛人がいたが、エリザベート公認の愛人。カタリーナに資金援助をしたりしてたし、ルドルフが死んだとき、カタリーナがフランツ皇帝の下へ向かいお悔やみを言ったほど。エリザベートの死後も付き合いがあった。

<流浪の皇妃~ルドルフの死>
旅を続けるエリザベート。お付きの女官らは彼女の早足に付いて行くのが精いっぱい。
エリザベートが旅を続ける間に、ルドルフは青年へと成長した。多民族国家であるオーストリアは各民族の自治や権利を求める動きが強まっていた。母親に似て自由主義に傾倒しているルドルフはこのままではオーストリアは滅びると父に訴えるが、保守的な父からは無視されるうえ確執が深まっていくわ、結婚生活はうまく行かないと(しきたりに従い、ベルギー王室筋のステファニー王女と結婚し、娘エリザベート(愛称はエルジー)を授かったが結婚生活は不幸だった)ルドルフは精神的に追い詰められていく。帰ってきたエリザベートに助けを求めるが、家との繋がりを絶ったエリザベートには届かない。絶望したルドルフはトートに誘惑され、マイヤーリンクで拳銃自殺を遂げる。ルドルフの遺体を前にエリザベートはルドルフは自分にそっくりだったこと、自分自身の自由を求めるあまりルドルフを結果的に殺してしまったことを後悔する。

*ルドルフを失ったエリザベートは豪華なドレスなどの私物は周囲の者に下げ渡し、自身はマリア・テレジアに倣い、喪服姿で通すようになる。最後に公の場に出た時、喪服姿で現れ周囲をびっくりさせた。

<すれ違い>
エリザベートの旅行先にフランツ・ヨーゼフが現れ、変わらない愛を告げるがエリザベートは拒否。エリザベートは自分たちを積荷も目的地も違う二艘の船に例え、海上で偶然すれ違うことはあっても、二人が完全に相容れることは今後も決してないと告げると、夫の元を発っていった。

<エリザベートの死~天へ>
死者の国で最後の証言をするルケーニ。フランツ・ヨーゼフはトートと対面。問答形式の歌で応酬。トートの手にはエリザベートを殺した凶器のやすりが握られていた・・・
スイスはジュネーブレマン湖のほとり・・・信頼する侍女・スターライと共に船へと急ぐエリザベートはルケーニと遭遇。そんな中トートの影を見た彼女はルケーニに向き直り、やすりで刺されて死ぬ。そして死の世界でエリザベートはトート共に天に登っていった。

 オーストリア(実質上)最後の皇帝と言われたフランツ・ヨーゼフ1世の妃としてハプスブルグ家に嫁いだものの、古いしきたりに縛られ(実際自作の詩に「自由を奪われた」という意味も含まれたものがある。)姑であるゾフィーと確執があっていじめにも遭っていた・・って典型的な嫁いびりがあるわ、皇帝は母には頭が上がらず妻の味方にならないと典型的なマザコン息子だったために神経をすり減らしてしまうってのは現代の結婚生活に通じるものがある。
自分もあんまり人に指図されるのが好きではないため(守るところは守るけど)、エリザベートみたいな環境に置かれたら真っ先に逃げだすなぁ・・・ 
 晩年は「死」に憧れていたらしいことが詩などに現れていたエリザベート。生への執着よりも死への憧れを口にするのは幸せではなかった結婚生活、息子に先立たれたからなんだろうね。

ミュージカルを通しで見るのはこれが初めてだと思うが、歌と演技が圧倒的なので引きこまれてしまう。元々歴史好きでハプスブルグ家に関連した展覧会に行って興味を持ったエリザベート皇后。その生涯を幻想的な存在と絡めて書かれたドラマにも引きこまれました。





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最終更新日  Dec 31, 2018 09:40:13 PM
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