|
カテゴリ:読書・コミック
今回読んだ本は三島由紀夫の「豊饒の海」第1部「春の雪」。
三島由紀夫最後の作品で「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4部作で5年がかりの大作。 輪廻転生を描いた作品で当初は5部作の予定だった。「天人五衰」最終回の原稿には昭和45年(1970年)11月25日と書かれており、11月25日は三島が自決した日だった。 文豪と言われる部類の作家の作品を読むのは高校生時代に夏目漱石の「こころ」を読んで以来。 図書館に全集はあったものの、文章が旧仮名遣いのため読みづらく文庫版を取り寄せる形で読んだ。三島由紀夫といえばクーデターを促す演説を行った後に切腹という方法で死んたことから物議を醸しだした作家。今、憲法9条に関する問題、改憲をめぐる論争も出てきたのでそれを機に呼んでみた。 松枝清顕は新興華族の跡取り息子。容姿の整った美青年だが繊細に育つ。 松枝家と交流のある綾倉伯爵家の令嬢・聡子は気になる存在なのだが、清顕にとっては時折疎ましく思う存在でもあった。 ある日、聡子に子供扱いされたことから清顕は聡子を遠ざけるようになってしまう。フラれた恰好になった聡子は洞院宮治典王殿下との縁談を受け入れてしまう。清顕は当初父が聡子の縁談話を話題にしても、早く嫁に行った方がよいという冷めた態度を取るのだが、実際は心の中で聡子に対する恋心が再燃。聡子もまた清顕を深く愛していた。聡子のばあやの蓼科、清顕の友人・本多繁邦の協力を得て清顕と聡子は密会を重ねるが聡子が妊娠してしまう。蓼科が自殺未遂を起こしたことで妊娠のことが両家にばれたことから聡子は堕胎させられそのまま月修寺で髪を下ろし尼となってしまう。 聡子のことが諦めきれない清顕は月修寺までやってきて聡子と再会しようとするが、聡子に拒絶されてしまう。雪の中聡子を待ち続けた清顕は肺炎をこじらせてしまい、本多に「又、会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」と言い、転生しての再会を約束し、20で夭折してしまう。 当初は華やかな華族の生活が描かれており、冒頭の松枝家の屋敷に飾られている日露戦争の写真・・ってのは三島が軍隊に対して強いあこがれを持っていたことがわかる(三島の青年時代は太平洋戦争の真っただ中。入隊検査を受けたものの結核と誤診されて軍隊に入れなかった) 聡子を袖にしたうえ、父の侯爵から聡子と治典王の結婚話を切り出されたときは冷めた態度を取っていたのに聡子と密会し、子供を孕ませるという清顕の行為はサイテーの男? 尼になってしまった聡子に一目会いたいと思った清顕は雪の降る中月修寺を訪れるけど無理が祟り肺炎をこじらせて死ぬ…という筋書き、小野小町の伝説にある深草少将の百日通いと似てません?(最後の日に深草少将は凍死・・・って筋書きだった記憶が・・・) 所々で「ジャータカ」「唯識論」と仏教の論理も登場。「ジャータカ」は清顕の学友となるタイの王族が切り出すのだが、学生時代に齧ったことがあるが、輪廻転生がこの段階でカギとなっていることを示している。 借りてきた文庫版は現代仮名遣いに変えられているものの、難しい漢字が書かれていて、言葉や文字の美しさを重視したのか? 【中古】 春の雪 豊饒の海 一 新潮文庫豊饒の海第1巻/三島由紀夫(著者) 【中古】afb 【中古】DVD▼春の雪▽レンタル落ち お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 15, 2019 06:45:18 AM
コメント(0) | コメントを書く
[読書・コミック] カテゴリの最新記事
|
|