テーマ:海外生活(7771)
カテゴリ:フライブルク
フライブルク大学、一号館の入り口 posted by (C)solar08 フライブルクはいわゆる学園都市です。 当市には アルベルト・ルードヴィッヒ大学(通称フライブルク大学)をはじめ、音楽大学、教育大学(単科大学)(ここまではすべて国立大学)、キリスト教教会立の単科大学があり、市の20万人余りの人口のうち、3万人ぐらいが学生で占められています。 学生2万人が通うフライブルク大学は医学部・大学病院を含めると職員数1万5千人以上と、市で最大の雇用提供者です。 フライブルク大学は1457年に設立され、ドイツ最古の大学の一つです。 町のど真ん中、フライブルク市立劇場の斜め向かい側にある1号館(KG1、写真上)は1911年に建てられ、ユーゲントシュティール(アール・ヌーボー)の建築物としては有名なのだそうです。 入り口のアリストテレスとソクラテスが、いかにもかっこいいでしょう? その前に自転車がずらりと並んでいるところも(ほかの写真はWikipediaで見てね)。 私が留学生として当市に住んでいたころには、この建物の中で外国人学生用のドイツ語講座が開かれていて、よく通いました。 おもしろいのは、この大学は「キャンパス方式」(郊外の広い敷地に建物をまとめる)をとらないで、文学や法律などの文科系の研究室や講堂、大学図書館は町の真ん中にあり、自然科学系の建物はいくらか離れた敷地に、大学病院はまた別の広いキャンパス風の敷地に、、、とバラバラに散らばっている点。 この1号館やとなりの2号館(劇場の真向かい)には昼間は誰もが出入りできますし、これらの建物にあるホールや教室では、一般向けの講演会や映画会などイベントがよく開かれます。 1号館といえば、数年前までは、ここの廊下に自分が持参したコップでコーヒーがくめる自動販売機がありました。 マイコップをもっていない人は、それを示すボタンを押すと、固いプラスチックのコップが出てきて、それにコーヒーがそそがれます。飲み終わったら、隣の返却装置の小さな窓口にコップを置いて窓口の降ろし戸を閉めると、コップ代(当時50ペニヒ)の内の40ペニヒが戻る仕組み。10ペニヒはコップの使用代というわけです。 あるとき、日本の某民放ラジオ局の方がフライブルクの環境対策を取材にみえ、この自動販売機を「音で見せる」ことになりました。 レポーターさんは、「私はこれからコーヒーを飲みます」とマイクに向かって話し、お金を入れる音、お金が落ちる音、コップがおりてきて、それにコーヒーがそそがれる音を録音。 しばらくして、レポーター氏は「いま、飲み終わりました。これから右の返却装置にコップを置きます。戸を閉めます」と言いながら、そのとおりにしました。 ところが、この装置、かなり鈍感で、なかなかお金を戻してくれません。 「さて、もう一度」とレポーター氏は再度、コップを置きなおし、戸を閉める、を何回か繰り返して、やっと「チャリン、チャリン」と音が4回して、40ペニヒが戻ってきて、私もほっとしました。 ラジオってむずかしいですね。状況を伝えるの。 この自動販売機もいつしかなくなりました。そもそも、文学系にしろ自然科学系の建物にしろ、大学内にはほとんど飲料の自動販売機はありません。もちろん道路にもありませんが。あるのは会社の建物中とか駅ぐらいでしょうか。 ところで、ドイツの大学のほとんどは国立です。私が正式に大学に通った頃は、授業料は当時は無料。学生健康保険に入り、保険料(月に49マルクですから、今の日本円ですと3000円余り)を払うだけでした。 (2005年からは、たいていの州で大学の授業料を半年当たり約7万円払わなければなりません)。 授業料がただでも、学生たちは生活がとても質素でした。親から仕送りを受けずに、アルバイトと奨学金で生活をしている友達も多くて、結局、暮らしていくのにせいいっぱいで学業を断念した友人もいます。私は、日本で見慣れていた「華やかなでおしゃれな」学生たちとの違いにびっくりしたものです。でも、あれは私立大学だからなのかな。 今のドイツの大学生も、日本から見れば質素かもしれませんが、かなりおしゃれで贅沢になってきたような感じもします。 ベルリンに長くお住まいのある日本人が「Solar08さん、税金が高い、なんて文句言えませんよ。考えてごらんなさい。あなたのお子さんも私の子どもたちも、ただで学校や大学に行かせてもらえ、塾にも行かないですんでいるし、学校でドイツ語のほかに英、仏、ラテン語の三カ国語も習わせてもらえるんですから。もし、これが日本だったら、x百万円もかかっているはずですよ。ありがたいと思いなさいよ」とおっしゃいました。 そう、その通り。娘は幼稚園と小学校の一年生、ふたたび六年生からギムナジウムを卒業するまでドイツの学校に通い、ドイツの大学を出ましたが、学校や大学にはほとんどお金はかかりませんでした。 その間、私が払った税金は合計しても、x百万円よりははるか下のはず。 こういう国って、世界では珍しいのでしょうが、中にいると、どれだけ恩恵を受けているかが、見えにくいんですね。授業料無料に慣れてしまっているから、授業料の導入に対しては猛烈な反対があります。授業料のために、大学をあきらめた人が18000人もいる、というデータも見ました。 でも、財政難で校舎が老朽化したり、講義によっては学生がすわれないほどいっぱいという悪状況を改善するには授業料が必要っと州の側は主張します。 私に言わせれば、お金持ちからは授業料をバンバンとって、親の収入が一定以下の学生はただにすればいいのに、と思うのですが。 これは児童手当にもいえて、子どもが学校や大学(職業学校も含め)に通っている限りは、子どもが26歳になるまで児童手当が誰にも支給されるのです。逆に、早期に学校を終えて働き、収入がある人は、たとえ26歳以下でも支給されません。 娘が大学やら専門学校に通った私にはありがたいことでしたが、「もらちゃっていいんだろうか」と思いました。私はお金持ちではありませんが、どうしても児童手当が必要というほど困窮もしていないし。 本当のお金持ちならなおさら、児童手当を支給しなくていいんじゃないの、って思います。 こんなことを言うと、授業料や児童手当に差をつけるのは、憲法で保障されている「平等」の原則に反するといわれるのですが、これって悪平等じゃないの? 「収入によって差をつけると、それをごまかす人が出てきて、それをまたチェックするという仕事が増えてむずかしい」という議論も出てきます。 あれあれ、フライブルク名所紹介の話がとんだところまでそれました。 本当は「ドイツは受験なし」みたいな話や学食の話も書きたかったのですが、あまりに話が飛ぶので、今日はこの辺で。 そういう話にも興味がある、という方はコメントで一言お願いします。そう言われると、書く気になるかも・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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