カテゴリ:時計雑記
オークションなどで古い懐中時計を眺めていると、よく目にする宝飾系のブランドはやはりティファニーですね。
懐中時計が隆盛を極めた最後の時代=1920年頃に世界で最も豊かだった米国を代表する宝飾店がティファニーということになるのでしょう。 当時のティファニーの懐中時計の機械を見てみると、アガシやパテック、トーション、バセロン、IWCなど、すごいメーカーのものが多く使われています。メーカーとしての規模がより大きかったであろう当時の米国メーカー=エルジンやウォルサム、ハワードなどは、なぜかティファニーの機械としてはほとんど見かけません。同じ国のブランドとしてライバル関係にあったからかもしれませんし、当時のアメリカにはまだ欧州に対するコンプレックスがあったのかもしれません。 当初ティファニーは機械も自製していたようなフシもあるのですが、高精度懐中時計の象徴たる鉄道時計には手を出していないようですし、あくまで宝飾店としてのスタンスを貫いていたように見えます。 この辺は、ドイツの宝飾店・ヴェンペと大きく違うところです。ヴェンペはドイツ時計業界にあって非常に大きな地位を占めていました。時計技術研究を推進したり、あるいは自らのブランドの時計をドイツ軍(=実用時計の頂点)に納入したり、先進時計メーカーとしての側面が強かったようです。 世界恐慌、第二次世界大戦、クォーツショックという逆風の時代を経て、現在のティファニーの時計は往時のような輝きを保つことには失敗しているように見えます。こと現在の宝飾系時計ブランドとしてみると、カルティエやピアジェ、ショパール、ブルガリ、エルメスの方が上をいっているように見えます。 高級時計ラインへの注力の話もチラホラ耳にしますが、かつての神通力を復活させるのには、まだまだ時間がかかりそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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