カテゴリ:エッセイ
今日の空。素直に秋らしいうろこ雲と言うべきところですが、なんだかクッキリしすぎていてやや不気味でもありました…。 そう思ってツイッターをのぞいてみたら「すわっ、地震雲か??」といったツイートであふれていました。 さて、前回の続き。 なんといってもキツかったのが生産ラインでの作業です。私は「四輪車体組み立て」というところで、主にエンジンルーム内のエアクリーナーやハーネス類の取り付けを担当していたのですが、単純にポンと部品をとりつけて終わりというものではないんですね。クルマの周りをぐるりと回りながらハーネスを何カ所か繋いで、クリップを数カ所止め、さらに部品を取り付け、それを数カ所ネジで止めるという作業を一台あたり1分弱でこなさなければなりません。それが一日400回以上。しかも米国向け欧州向けなど、各国仕様が順不同で流れてきて、それぞれの仕様で部品や工程が異なるのです。 最初のうちはとてもひとりではこなせず、ベルトコンベアと一緒に自分が流されていってしまいます。そうしたときのために、ベテランの救援要員が配置されていて、「オーイ」と呼ぶと救援要員の方が駆けつけてくれて一緒に手伝ってくれるのですが、ラインに配置された最初の1週間ぐらいはほとんど救援を呼びっぱなしという状況でした。 そして、家電製品などと違うのは、とにかく重労働であることです。なにせ相手がクルマですから、大きな重たい部品もあるし、クルマの周囲を歩き回って作業しなければならなかったりします。工程によっては、ずっと腰を曲げたまま作業しなければならなかったり、一台一台クルマの中に乗り込まなければならなかったりするパートもあって、そういったところの作業は熾烈を極めます。今ではロボット化自動化が進んでいるようですが、私がいたころ、自分が「絶対にやりたくないなぁ」と思ったのは、タイヤの取り付け工程とシートの取り付け工程でしたね。 実際、実習生の同僚でシートの取り付け担当になった運の悪い仲間がいたのですが、彼は腰を痛めて、休日はほとんど寮で寝たきりになっていました。 もうひとつ厄介だったのが電動工具です。 ボルトのネジは、空気圧を使った工具で締めるのですが、(私たちは「インパクト」と呼んでいました)この工具の振動で、手が痺れてむくんだようになっていまうのです。仕事が終わって帰ってきて、寮のドアを開閉しようにも、ドアノブを回すことすら難儀する有様でした。そんなこんなで、最初の1ヶ月ぐらいは、実習生が寝起きする寮の中は、あちこちからうめき声が聞こえてきたり、廊下を這って歩いている輩もいたりして、さながら野戦病院のようでした。 鎌田慧氏の著作に「自動車絶望工場」という小説がありますが、まさにその通りの世界でしたね。 我々実習生は逃げ出すこともできないので、ひたすら歯を食いしばって耐えましたが、出稼ぎで来ている期間工」の方々の中には1週間ぐらいでいなくなってしまう人も珍しくなかったとか。 (断続的につづく) 工場実習の思い出。 工場実習の思い出〜その2 工場実習の思い出。~その3 工場実習の思い出~その4 工場実習の思い出~その5(実習期間が9ヶ月に延長) 工場実習の思い出~その6(亀山市でヤクザに監禁される) 工場実習の思い出~その7(亀山でヤクザに監禁されてその後) 工場実習の思い出~その8(名古屋でヤクザの車に追突) 工場実習の思い出~その9(続・名古屋でヤクザの車に追突) 工場実習の思い出~その10(名古屋でヤクザの車に追突その後) 工場実習の思い出~その11(痔で歩けなくなる) 工場実習の思い出〜その12(痔で動けなくなってその後) 工場実習の思い出~その13(駅伝の練習ってマジですか??) 工場実習の思い出~その14(駅伝ってマジ?~その後) 工場実習の思い出~その15(ジョブローテーションでさらにキツイ仕事に…) 工場実習の思い出~その16(ジョブローテーションでキツイ仕事に…) 工場実習の思い出~その17(ラインの同僚のこと) 工場実習の思い出その18(休日の過ごし方) 工場実習の思い出~その19(友人とそのフィアンセの話) 工場実習の思い出~その20(もうひとりの友人のこと。) 工場実習の思い出〜その21(実習終了間近なれど…) 工場実習の思い出~その22(実習終了) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年11月19日 10時24分21秒
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