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テーマ:法律(493)
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認知症で判断力がない人から依頼を受けて裁判をした場合の訴訟費用について,弁護士に負担を命じた事案がタイムズに載っていた。あんま見ない事案だったが,高齢化の時代だし,いかにも「ありそう」な事案なので簡単にまとめてみる。
判例タイムズ 2019年 04月号 [雑誌] 事案は,おおよそこうだ(さいたま地裁H30.7.31判例タイムズ1457号190頁)。 訴訟提起時に84歳の原告男性が,実の息子である被告に対し,土地の問題について裁判を行った。 これについて,息子は色々と反論しているのだが,「父は認知症だ。裁判をやるための判断力はない」と主張をした。 裁判所はこの高齢の父親に証言をさせてみたところ,この父親はまともな会話ができないどころか,自分が弁護士に依頼をしたことすら認識をしていないし,改定長谷川式簡易知能評価スケールが5点という点数だったことで,「依頼をした時点で訴訟能力なし」として訴えを却下した。 そして面白のが主文2項,「訴訟費用は原告訴訟代理人Aの負担とする」というもの。 確かに,民事訴訟報69条,70条を見るとこうなっている。正直,僕はこんな条文知らなかった。 本人に訴訟能力がない以上,原告の弁護士は無権代理人というわけだし,そういうことになるのだろう。 ちなみに,この事件は原告父親と被告息子の対立というより,裏で別の息子が父親をけしかけた感がするんだけどね。 なお,父親がいつ判断力をなくしたかについては,訴訟提起より1年くらい前の時点で厳格を見たりして中程度から重度の認知症ということで施設に入ってたり,訴訟提起から2か月という近い時点で改定長谷川式簡易知能検査を受けた結果を使ったりしている。 弁護士的な発想としては,やはり高齢の者から依頼を受ける際には十分に注意をしなければならないということだろう。 実際,僕もこれに近いような依頼をされたことはある。話していて明らかに判断力なさそうなら,断ってしまうか,「成年後見人をつけてもらい,その後見人からの依頼なら受ける」というようにはしてる。 更に余談だけど,「高齢の判断力をなくした親の年金だとか財産を取り上げている子ども」,というのは比較的よく見る。ただ,これがかなり難しくて,判断力がないなりに,親の方が子どもをかばったりする。後見人をつけて欲しいと思うところだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.04.01 14:40:36
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