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カテゴリ:ラノベ
これまで後ろで陰謀を延々とやっていたフェザーンが大きく動くのが銀河英雄伝説4巻,策謀編。
表紙がフェザーンのルビンスキーであるが,フェザーンが軍事上の重要地点になったり,ユリアンがフェザーンの駐在武官になって移動したりとかする。 銀河英雄伝説(4) 策謀篇 (MAG Garden NOVELS) [ 田中芳樹 ] 序盤に行われるのが,帝国内で行われる皇帝誘拐事件である。 このあたりのラインハルトは三国志の曹操かという感じで皇帝の権威を思うさま利用したが,それも必要なくなったので使い捨てる感じ。 この辺が,ラノベ特有の時間の進み方の早さを感じる。曹操も同じように宰相として皇帝の権威を使い,実質的な支配者として君臨したものの,簒奪まではいかなかった。ラインハルトはそのあたりを数年でやってるというのは曹操より有能なのか,ラノベの時間感覚だろうか。 ところで,気になるのが幼帝エルウィン・ヨーゼフ4世が「躾のなっていない子ども」として描かれていてる。2巻の門閥貴族との内乱でもそうだったけど,銀河英雄伝説の世界だと皇帝の血筋は無能な者ばかり,というのはやや気になる。 別に,ラインハルトが乗り越えるべき,軍事について天才的な才能を持つ皇帝の叔父だとか,皇帝の甥みたいな,そんなキャラがいたほうが盛り上がるような気がするのだ。ただ,テーマがぼやけるから,そこは仕方ないな。 そして,軍事面の衝突だけど,帝国側がが使ってきた今度の作戦はフェザーン回廊を通過して同盟軍に攻めてくるという奇策を使ってきたわけだ。 ところで,説明がしっかりあったか記憶がないのだけど,銀河英雄伝説の世界だと宇宙空間はどこでも自由に動けるわけではないようで,航行不可能な場所を避けるとすると,イゼルローン回廊かフェザーン回廊を通過しなきゃならないみたい。 この辺がSF的に正しいのかどうか,僕はよくわからない。 人類はまだ宇宙空間での戦争とかしてないからね。 最後に,3巻に続きキャラの掘り下げが行われているのだけど,ムライ少将当たりの話をしておこうか。 ムライはせっかくの日本人名を持っているくせに,「名前のあるモブ」程度のキャラである。彼はヤン・ウェンリーの参謀なのだけど,「もともとヤン・ウェンリーは指揮官と参謀の両方の才能を持っているから,参謀なんていらんだろう。だから,常識論ばかり言って,ヤンに他人がどう考えているか伝え,作戦の参考にさせる」という役割を演じていたことが語られる(第5章,「ひとつの出発」)。 物語を作るには,ヤンやラインハルトみたいなのばかりではダメで,こういう脇役が無数に必要になってくる。再読の楽しさで,「名前のあるモブ」くらいのキャラもゆっくり見ていけるのがいいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.08.02 15:44:45
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