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カテゴリ:ラノベ
ヤン・ウェンリーが物語から退場した以降の銀英伝は蛇足的な思いがあるけれど,とりあえずの第9巻。
銀河英雄伝説 9 (MAG Garden NOVELS)[本/雑誌] / 田中芳樹/著 表紙は帝国銀の軍服を着ているからオスカー・フォン・ロイエンタールだろう。左右の瞳の色が違うと完璧なんだけど,この画像だとちょっとわかんないですね…。 ある意味で,この9巻の事実上の主役はロイエンタールだろう。 あらすじは相変わらずリンクを踏んでもらうとして,見どころは大きく2つ。ロイエンタールの反乱と,それからラインハルトの結婚である。順に,触れていきたい。 まずはロイエンタールの反乱の件。 振り返ってみていくと,ロイエンタールは折に触れてラインハルトに反逆をするかもしれない,という態度を出していた。同じ帝国軍の双璧であるミッターマイヤーなんかは理想の軍人であり,家庭では良き夫でもあるという,あまり闇のないキャラなのだが,ロイエンタールは悲しい過去があったり,野心的だったり,かなり人間が複雑だったと思う。 正直,僕は再読なのだけれどヤンが死んだあとはかなり適当に読んでいただけに記憶も薄く,「ロイエンタールは野心を抑えきれず反乱をしたのだろう」と思っていたのだけど,これが違った。 ほぼ完全に忘れていたけれど,ロイエンタールはあくまでラインハルトの忠臣であるのだけど,色々な陰謀の結果,引くに引けない状況になってラインハルトに反逆を起こした,という体裁になっていた。 このあたり,正直,非常に分かりにくい。 歴史の流れを見ていると,天下統一を果たした君主というのは功臣の粛清をするものである。漢の高祖・劉邦みたいに激烈にやる君主もいるし,源頼朝なんかは弟である義経を殺すまでしてる。家康だってけっこう陰険で,次々と大名を取り潰したりしてる。 そういった観点からすれば,ラインハルトが功臣の粛清を始めたとかでもいいと思うんですどね。 このあたりというか,物語後半のラインハルトは戦場で正々堂々と戦うことにこだわる反面,汚い手段というか,政治的な解決を嫌う傾向が強く,人間味というのが失せてきている気がするんだ。2巻でヴェスターラントの虐殺を見殺しにて,政治的に利用するというようなやり方を取らなくなる。その辺,どうかな,と思うのだ。 あと,ロイエンタールは死ぬ間際,「わが皇帝,ミッターマイヤー,勝利,死」と言い残すのだが,これの意味がよくわからず,後世の歴史家が議論をするというのはたぶんナポレオンが元ネタなんだろうな。確か,ナポレオンも「フランス国民,軍隊,ジョゼフィーヌ」等と言って亡くなったそうだから。 それから最後に,ラインハルトが結婚した。 物語がロイエンタールの反逆と死という気分が重たくなったろころで,明るい話を入れておく。 読後感を良くしようという,田中先生の心意気を感じる。 銀河英雄伝説 9 (MAG Garden NOVELS)[本/雑誌] / 田中芳樹/著 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.09.02 19:29:06
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