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2020.07.22
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テーマ:法律(493)
カテゴリ:法律
車社会である田舎で弁護士をやっていると,酒気帯び運転における絶対の基準として,道路交通法で処罰される基準である「呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上で運転してはならない」というのを頭にたたき込むことになる(2020年時点)。
以前は,0.25ミリグラムだったのが0.15ミリグラムになったということもあり,今後厳しくなるかも知れないが,現時点ではこうだ。
つまり,呼気1リットル中のアルコール濃度が0.14ミリグラムであれば,道路交通法違反であるとしても,基準値以下なので免停にもならんし罰金もない,ということになる。だが,そうでもない,という事案があるので見ておく。

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今回の事案は,こうだ(大阪高裁令和元年5月30日判例時報2444号20頁)。
被告男性は,ある日の晩,自宅で少なくとも500ミリの缶ビール1本と焼酎の水割り3杯を飲んだ。その翌日,男性は午前8時半ころ,交通事故を起こしてしまったのだ。
この事故で相手方が死亡したのも大変なことだが,自分自身も足に後遺症が残るケガをした。なお,事故の直後,警察署で飲酒検知をしたところ,呼気1リットルあたり0.06ミリのアルコールが検出されている。
この事故について,被告男性は治療費約20万円,車両保険約190万円の合計210万円を保険会社から受け取っていたのだが,保険会社がこの金を返せ,と不当利得で訴えのが今回の事案である。

この事件のポイントは,保険会社の免責条項,「酒気帯び運転をしていると保険金は払いませんよ」という条項が適用できるかどうかというところにある。
時報の解説によると,酒気帯びと免責条項について,大きく2つの説があることになっている。

①厳格説
酒気を帯びていれば,事故との因果関係も問わず免責させる。

②制限説
政令の定める数値(呼気1リットルあたり0.15ミリ)以上が必要だとか,体内にアルコールを保有している等の認識が必要だとか,ある程度の制限を入れる。

この事件について,保険会社は①の厳格説に,被告男性は,②の制限説に立ちつつ争ったのだが,神戸地裁も大阪高裁も,保険会社を勝訴させ,保険会社からの「支払った保険金を返せ」という主張を認めた。
理由としては,「酒気帯び運転をしてはならないというのは社会全般の共通認識」であるとしたうえで,「免責条項にいう”酒気帯び運転”という言葉を文言どおりに解するのがであっ相当で,刑事罰の基準と同程度のアルコールを保有する状態で車両を運転する場合とか,酒気を帯びることにより正常な運転をすることができない恐れがある状態で車両を運転する場合などと限定的に解釈するのは相当とは言えない」と言っている。

もっとも,大阪高裁は「運転者の責めに帰すことができない特別の理由がない限り」と留保をつけているので,多少のアルコールが検知されていても,なお保険金がもらえるケースはありえるのだろう。
といっても,今回の事案は夜に酒を飲んで,翌日朝に事故を起こした,という事案である。お店で飲んで,そのまま車で帰るというような飲酒運転に比べればずいぶんと帰責性は低いような気がするが,これでもダメだというのであるから,どういう場合に「特別の理由」があることになるのか,疑問は尽きない。

なお,この事案は上告されているようで,取下げなどなければ最高裁の判断も出そうではある。
個人的な見解を言えば,ある程度の客観的な基準はあった方がいいのではないか,と思うところである。
今回の事件で0.06ミリがダメだとなったけれど,この数値だけで判断されたわけではなく,見落としがあったので前方注視がおろそかであって,これはアルコールのためと考えられることなどが影響している。
そうすると,同じ0.06ミリでも許される場合があるのかもしれないし,基準がいまひとつ分からないことになる。
ある程度,客観的な基準はあっていいと思うのだが・・・。
これだと0.01ミリグラムでもあったらダメだといもなりかねない。

最近はどうか知らないが,僕が免許を取ったころには,道交法の基準を前提にビールをどれだけ飲むと,呼気1リットルあたり0.15ミリ以下になるのは何時間である,みたいな表を見せられたことがあった。たとえば,成人男性がビール500ミリリットル飲んだ場合,だいたい3時間くらいで呼気のアルコールは1リットルあたり0.15ミリ以下になるというの。なので,午後6時の乾杯だけ飲んで,午後10時くらいに解散したあと車で帰れば,道交法的には酒気帯び運転にならない可能性がある。
ところが,今回の事件を前提に考えると,そういう行動はしない方がいい,ということになる。
道交法のレベルで問題がなくても,事故ったときの保険金がもらえない可能性があるのだから・・・。


※Twitterで,「0.15ミリ以下ならば道路交通法問題ない」との表記について,「それでも道交法の違反であり,刑罰が科されないだけです」とのご指摘があり,内容を訂正しております。間違いのないよう木をつけますが,今後ともよろしくお願いいたします。


交通事故事件処理マニュアル補訂版 [ 永塚良知 ]





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最終更新日  2020.07.22 15:37:37
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