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カテゴリ:ラノベ
現実世界では藤井聡太が19歳で三冠を達成し,まだ今シーズンで四冠の可能性も残しているという意味の分らん状態になっている。
一方で創作の『りゅうおうのおしごと』である。今回も八一の対局はお休み。八一は将棋の本を出版したりするし,特に東京の棋士たちにフォーカスがあたる。 りゅうおうのおしごと!15【電子書籍】[ 白鳥 士郎 ] 本作,あんまり1つのテーマだけで1冊ができていないので出来事を適当に箇条書きすると,以下の通りになる。 ・八一,棋書の執筆をする。執筆態勢は美人編集者,供御飯万智とカンヅメでお色気描写もあり。 ・雛鶴あい,東京で修行を開始する。山刀伐八段と,鹿路庭珠代の世話になりつつ,心構えなどを学ぶ。 ・山刀伐八段,盤王のタイトルを掛けて名人に挑むもののフルセットで敗退する。 ・山刀伐八段,A級トーナメントを勝ち抜き,再度名人に挑むことになる。 ・銀子,八一の書いた『九頭竜ノート』を読み,復活の兆しを見せる。 ・神鍋歩夢,ノンストップでA級入り。 だいたいこんな感じかな。 表紙にもなっているけれど,メインのテーマとしては,八一の棋書『九頭竜ノート』(元ネタはたぶん『島ノート』かな?)の執筆なのだけど,裏のテーマは山刀伐八段の戦いっぷりなのだろう。 山刀伐八段は,この物語の初期から登場している中堅棋士である。Wikipedia見たら年齢が3巻時点で38歳だし,八段というのだから,もう伸びしろはない・・・,とは言わないが成長がさほど見込めなくなっている。 そんな彼が,これまで一度も手に入れたことのないタイトルを掛けて名人に挑むのだ。 ふと考えてみれば,本作では登場人物の多くがなにが,当たり前のようにタイトルを持っている。 八一は現在,竜王と帝位の二冠である。特に女流では銀子は女流二冠であたっし,その他,女流ではメインキャラのほとんどがタイトルを持った経験がある。 ただ,タイトルを持つというのは,一度でもいいから日本一になった経験があるということを意味している。スタートの機会は平等に与えられているとしても,結果は無情で現実世界の羽生のように1人で100近くを独占する者がいる一方で,たいていの棋士は1つのタイトルを持つこともなく消えていくわけだ。 作中,「一度でもタイトルを獲ったら人生が変わる」だの言われているが,そういうものなのだろう。 想像するに,オリンピックの金メダルみたいなもんだろか。引退時点で,A級に10年いたのなら「A級在位10年」という,わかる人にしか分らん表現になるのもそれはそれですごいけれど,一度でもタイトルを取れば元王位とか,そんな感じになるのだし。 前々から指摘しているが,恐らく本作の著者は,才能溢れる八一を描くよりも,それ以外の才能がない,負けの多い棋士がそれでも諦めずにあがく姿を描く方が好きなのだろう。 山刀伐がタイトル挑戦のため,雛鶴あいの世話を何くれとしてくれたのも,この小学生から何かの刺激を受け,強くなるためであるし,タイトル戦にフルセットで敗れてアパートで慟哭する姿は鬼気迫るものがある。 もちろん,著者があがく者の描写に力を入れている,と感じるのは,読み手の僕に問題がある可能性はあるけれど,八一がお色気やっとるよりも心には残るのだ。 さて,それで次の話なのだけど,そろそろ終わるのかと思いきや,別にそんなことはなく話は延々と続いていくようだ。 次の巻でやるとしたら,名人戦への挑戦権を得た山刀伐八段の挑戦を描くのか,半世紀ぶりにノンストップでA級入りをした神鍋歩夢を主軸にするのか。 たぶん,神鍋歩夢のモデルは佐藤天彦だと考えられているのだけど,そうだとすれば名人を破って名人になるのは彼なんだろう。続いていれば,八一竜王対神鍋名人となるのだろう。それがいつになるかは分らんけど。 りゅうおうのおしごと!15【電子書籍】[ 白鳥 士郎 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.09.17 15:44:52
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