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カテゴリ:ラノベ
数年ぶりに電撃文庫を買った。
2022年時点ではなろう系と呼ばれる,異世界転生ものが隆盛を誇っているが,20年くらい前はライトノベルの全盛期だったものである。そんな直撃世代の僕だけど,たぶん電撃文庫なんぞ10年以上は買っていなかったように思う。 ![]() 竜殺しのブリュンヒルド【電子書籍】[ 東崎 惟子 ] 感想に入る前に,ちょっと自分語りをしたい。 僕はソーシャルゲームFGOをやっていた。攻略動画もいろいろ見ていたんだけど,その中にひときわ目立つというか,奇妙な動画投稿者がいた。 星1の,つまりレアリティとしては最下級のキャラでしかない佐々木小次郎をメインアタッカーに据えて次々と強敵を倒していくというプレイスタイルの動画である。正直言って,攻略動画というのもおかしな話で,普通に攻略したいのなら普通に強いキャラを使えばいい。だが,佐々木小次郎にこだわるところに意味がある。 そこには物語があった。 仲間たちの思いを引き継いで佐々木小次郎が強敵を撃破するところは感動したものである。特に,第1章ラスボス戦の最終ターン,動画投稿者は令呪と呼ばれるバフを小次郎に3回も入れるんだが,これにゲーム政略上全く意味がない。ただ,小次郎への強い思いが感じられたものである(『LEGEND OF SAMURAI』より)。 そんな動画投稿者の方はTwitterをしていたのだが,電撃文庫でデビューすると言っていたので,ここしばらくは期待して待っていた。 内容なのだが,『竜殺しのブリュンヒルド』というタイトルなので北欧神話を題材にしているのかといえば,別にそうでもない。 主人公のブリュンヒルドのフルネームは,ブリュンヒルド・ジークフリートなのだが,ジークフリートがファミリーネームというのはちょっと妙な感じだし,主人公の兄に至ってはシグルド・ジークフリートという,かなり妙な名前をしていたりする。 そこはラノベだから固有名詞が北欧神話から来ている,ということでいいだろう。 内容なのが,とにかく暗いですね…。 簡単なあらすじとしては,「竜殺し」の家系の主人公がふとしたきっかけで竜に育てられることになるのだ。 竜に育てられた少女は,「育ての親」である竜を,「実の父親」に殺されたことにより,復讐を誓うことになる,とこんな感じになる。 そんな復讐物語というのはいい素材だが,暗くなりがちだと思う。 そんなこの物語も,本当に暗い。「育ての親」の復讐に,「実の親」を殺すというのが主人公の目的だから,どうしたって話が明るくはならないのである。 そして,ブリュンヒルドは育ての親である竜に対し,父親代わりとしての気持ちに加え,恋心まで持っているので,話はより複雑になる。 だいたい,半分くらい読んでいる時点で,「あぁ,この話ってどうやってもハッピーエンドにならんなぁ」というのが分かってしまい,主人公の復讐が達成できて親殺しとなるか,志半ばで散るのか,どちらにしても破滅へ進んでいくのを見守る感じ。 そして冷静に考えると,ブリュンヒルドは竜殺しの家系に生まれているけれど,竜殺しをしまくっているわけではないから,親殺しのブリュンヒルドのが相応しいかもしれない。 てっきり,竜殺しの異名を持つ佐々木小次郎あたりがゲスト出演して,明るく楽しい物語にならんかな,と期待して読むと全然そんなことにならん。 重たいのを読みたいとき,読む感じだろう。 昨今のなろう系みたくブリュンヒルドは竜の力を持っているのでチートじみた身体能力を持っているが,その程度で物語は明るくはならない。 なお,ライトノベルと言えば連載漫画のように人気がある限り続きが出て,何十巻もでるというのが基本みたいなところがあるけれど,本作は1冊でやることはやり切ったように見えるから,続編は期待できないかな。 ![]() 竜殺しのブリュンヒルド【電子書籍】[ 東崎 惟子 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.06.13 11:14:30
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