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タコ社長,オーストラリア・メルボルンのスローライフな日々

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2012年01月27日
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カテゴリ:忘れられない人々
六本木のディスコ、レキシントンクィーンのあったビルがすっかり様変わりして無くなっていた。その上にあった、バーニーインも当然同じ運命だった。酒臭い青春の想い出が、いびつに詰まっていたクラブだった。

バーニーインではサラリーマン時代、スタンドバーでビールを飲んで白人男が日本人女性に声を掛けまくるシーンを見続けていた。何もいいことはなかった。そういう、ある意図を持った女性達は日本人男性がまったく目に入らない。

その奥はステーキハウスになっていて、時々食事をしていた。行きつけのクラブマキシムの専属歌手フィリピン人の、見てはいけないようなミルナといいう歌手と一緒にステーキの食事をした。彼女は小柄だが声量があり、狭いマキシムの舞台で歌う「ニューヨーク、ニューヨーク」には圧倒された。華のある人だった。人を惹きつけるものを持っていた。

ステーキが出て来た。すると、この憧れのミルナは右手のナイフでステーキを細かく切り刻んだ。そして、左手のフォークを右手に持ち替えた。所謂、アメリカ人のやる食べ方だ。
ここまでは何でもなかった。その後、彼女はグッと背中を丸め顔がステーキにつくくらいまで寄せて、ヌッと歯ぐきを出して一心に食べ始めた。フォークと皿のぶつかる音がずっと続く。すてーきな夜、なんて雰囲気ではなくなってしまった。

しかし、こういう私も、箸で卵かけご飯を音を立ててかき入れるレベルのマナーしか持っておらず、人のことは全く言えないし、いまだにナイフとフォークは苦手だ。

先日、フォーマルな夕食の会があった。背中をスッーと伸ばして決して丸めないように、なんて自分に言い聞かせながら食べ始めた。しかし、酒が入るともうそんなことはどうでもよくなってしまう素直な性格のお陰で、あとは自然体で乗り切った。あまり細かいことを考えると味わうこともままならない。

その内、「マイ箸」とかいってどんな所でも箸なんかで食べ始めるかもしれない。ミルナとは、見栄張らないで「吉野家」とかにすれば良かったのかもしれない。

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Last updated  2012年01月27日 14時00分32秒
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