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現代ビジネスより
マスコミはほとんど報じない…この10年の金融緩和が「失業率」「成長率」を改善してきたという「圧倒的な成果」(村上 尚己) | 現代ビジネス | 講談社(1/5) (gendai.media) 観測報道がヒートアップ 1月17~18日に開催された日本銀行の金融政策決定会合では、事前には政策修正への観測が高まっていたが、現状の政策維持が決定された。「長期金利を抑制する対応は困難」というのは、自作自演とも言える市場参加者の思惑であり、それが大手メディアの報道によって増幅されていたということだろう。 次期執行部人事を控え、政治的な思惑が観測報道をヒートアップさせ、その解釈が様々に入り乱れたが、実際には事実誤認を含んだミスリードな観測報道もみられた。 日銀の対応は、12月から「金融緩和の持続性を高める」という観点で一貫している、というのが実情だった。現行の金融緩和の枠組みが国債売りという「市場からのアタック」で揺らぐ、というのは多分に市場の思惑に過ぎたなかったのだろう。 今後、金融緩和が引き締め方向に修正されるとすれば、「2%インフレの持続的な実現」との日銀の判断が変わる時だろう、と筆者は考えている。米国経済の減速などの外部環境を踏まえれば、黒田体制路線の大転換が起きない限り、2023年内に日銀の判断が大きく変わる可能性は高くないとみている。 今回、日銀の政策変更に対する予想が高まった一因は、前回12月会合の政策見直しが予想外だったことだろう。そして、日銀の金融緩和政策は「異次元の対応」と評されてきており、いわゆる「副作用」がメディアや世論に注目されやすい事情も、今回の騒動を大きくしたのだろう。 例えば、黒田日銀総裁の任期が近づく中で、「金融緩和の宴が終焉」などとメディアで扱われていることなどが一例である。「宴」というのは、一時的に盛り上がっても、効果がなく、あるいは無益な対応だった、ということを意味するのだろう。 2013年に当時の安倍政権が金融政策のレジームシフトを引き起こし、黒田総裁のもと日本銀行は2%の物価目標実現にむけて金融緩和を徹底した。一方で、緩和強化の成果に目をつむりたい守旧派や、金融機関の一部関係者などは、金融緩和を批判せざるを得ない。 そして、彼らを情報ソースにする大手メディアの記者にも無視できないバイアスがある。ただ、彼らが指摘する副作用についても、それらは些細な論点であり、依然として金融緩和を続けるメリットが大きいのが実情だと、筆者は考える。 そして、仮に日銀による金融緩和が終わり、利上げができるような経済状況だというのであれば、それはインフレ率が2%で安定して、経済成長率が高まっているという状況でなければならない。金融緩和が修正されるのであれば、そのときには日本経済が正常化の出発点に至っている、ということなのだから、先に指摘した「宴の終焉」というのは、かなり的外れな評価にみえる。 金融緩和の効果 デフレが深刻だった1998年から2012年まで4.6%と高かった日本の失業率は、金融緩和が強化された2013年以降低下して、2018年には2%台半ばまで低下した。金融緩和効果が浸透してから、正社員の雇用者数も2015年頃から増加に転じた。 そして、2020年に新型コロナウイルスによるショックがあっても、労働市場の安定が続いている。直観的には分かりにくいのだが、金融緩和により総需要を底上げして、労働市場を改善させた成果である。 2010年頃まではブラック企業が流行語になっていたが(そうした記憶すら薄れつつある)、ブラック企業の多くが淘汰されるとともに、新卒の労働市場は大きく改善した。労働市場の需給改善が続いたことが、2022年になってようやく企業による賃上げに及びつつあり、2%インフレの安定的な実現が、相応に近づきつつあるというのが実情だろう。 また、過去10年に2回消費増税を行うなど、安倍政権発足直後の2013年とコロナ禍直後の時期を除けば、これまで日本の財政政策は緊縮的に作用していた。その意味で、アベノミクス以降の経済政策は、ほぼ金融緩和頼みの一本足打法だった。 それでもこれまでのところ、2010年頃のように労働市場が悪化していないのは、金融緩和の徹底によって経済が安定化したことが大きかった。政治的にも、政権与党に逆風が吹かなかったのは、経済情勢が安定したことが一因だろう。 一人当たりGDPも伸びていた 金融政策が労働市場に及ぼす影響は、理解されづらいのかもしれない。最近は、金融緩和は効果がなくなっており、日本の一人当たりGDPは先進国の中で低い、などと一部論者などが強調している。一人当たりGDPの水準はドルベースに換算した順位などが使われるが、為替レートの変動などに影響をうけるのでこれは変動しやすい。 一人当たりGDPについては、ドル換算した水準よりも、その変化が重要である。一人当たりGDPの伸びは金融緩和が強化された2013年~2019年に+1.1%伸びた(コロナ禍後は、医療体制が貧弱だったことを主因に日本経済の復調が他国対比で遅れたので、2019年までで比較)。デフレが深刻だった1995年~2012年の伸びは+0.7%だったので、+0.4%伸びが高まった。 1995年〜2012年、2013〜2019年の期間の、他の主要先進国の一人当たりGDPの変化をみると、米英は二つの期間はほぼ同じ伸びで、ドイツでは2013年以降伸びが低下した。デフレによる経済停滞が続いた日本の1995年〜2012年の伸びが低すぎた「異常期」だっただけなのだが、2013年以降金融緩和の強化でデフレが和らいでから、日本では一人当たりGDPの伸びが高まった。 また、2013年~2019年のうち消費増税が行われたのは2014年(+0.4%)、2019年(-0.0%)だったが、この2年を除けば日本は+1.5%と米英とほぼ同様に一人当たりGDPが伸びたことになる。これらの事実は、金融財政政策が適切に行われれば、日本は米英並みに経済成長率や労働生産性の伸びを実現できるということを意味している。 金融緩和によって、他の主要先進国並みに成長率が高まり、労働市場が改善し続けたことは、明確な成果である。2%インフレ目標に失敗したと批判する論者がいるが、2%インフレ目標があったからこそ、金融緩和が徹底されて経済活動が安定していたと言える。 目標の完全実現には至っていないので、多くの人が生活の豊かさを強く感じられるまでには至ってはいないにしても(それが起きている時はバブルかもしれないが)、デフレではなくなったことで、日本の経済的な豊かさが他国と遜色ない程度には復調しつつある、ということは十分可能だろう。 2012年末に安倍政権が誕生、政治主導で日銀の金融政策体制が変わったことで、世界標準の政策対応が行われた。この総需要安定化政策を転換してしまうことの意味を、岸田政権が正しく理解しているか否かが2023年の日本経済、日本株市場の命運を左右するだろう。 金融緩和を表層的にしかとらえないメディアの報道、また報道に影響を与える金融緩和政策を軽視する官僚機構の意向などによって、今後の岸田政権の政策運営がさらに迷走することが最大のリスクだろうと、筆者は考えている。 --------------------------------私の意見----------------------------- マスコミのドル建て原理主義による政府批判はいい加減にしろと言いたくなる。岸田さんが故安倍さんほどの経済知識がおるのかどうかだ。故安倍さんの経済知識はあの天才高橋洋一先生も舌を巻いていたほどの実力だった。私は今回黒田さんが勇退されるが、日銀の政策はこのまま引く継ぐと思う。大きな政策転換はないと見る。 アホなマスコミはこぞって、アベノミクス終焉だ、これから成長だと大騒ぎになると思うが、今人余りはマスコミ産業くらいだろう、他の業種は地方公務員も含めて深刻な状況となっている。岸田さんがへたうてば3%くらいにはなると思うが(笑)日本経済は不勉強なサヨクブロガーが嘆くほどやわではない、強固そのものなのだ、私が思う日本経済の鍵は電気代である。このまま電気代が高騰していけば、日本経済が衰退していく。問題は原発再稼働、新設の原発をいつやるかなのだ、今でしょなのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.28 08:54:47
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