テーマ:毎日、一歩一歩。(2526)
カテゴリ:ゆみの一歩一歩<何気ない日常の中で>
父の胃がんの手術。一人娘のゆみには、それはとっても怖いことだった。 だから最悪を覚悟し、気力を奮い立たせた。4時間15分・・・長かった。 成功を信じるよりも、だめだったときに母を支えていく自分を想像してた。 その日は、母まで風邪でダウンしてたから、なおさら心細かった。 「いよいよ手術始まったよ。」と友達にメールした。 ゆみのつぶやき・・・86 「手術は成功だったろ!」 ・・・きみはやっぱりすごいね。 勇気あるきみの言葉が嬉しくてたまらないゆみ。 うんうん(*^_^*)、今やっと出てきたとこなんだよー! 最終更新日時 2006年1月18日 2時48分31秒 きみはすごい、とゆみは思った。 手術開始から、5時間くらいして、やっと部屋に戻った父のお世話を、まだバタバタと 看護婦さんがしてて、ゆみもまだ現実に帰っていないようなとき、 いきなりきみからメールが来た。 ゆみだったら、友達に言えないよ、と思った。 「手術は成功だったろ!」なんて・・・相手の状況を確かめないうちは何にも言えない。 だからきみは、なんて勇気がある人なんだろう、と思った。 ゆみでも、成功を信じきれてなかったのに、きみは、本当に信じてくれてたんだと思った。 長かった5時間、でもきみも仕事しながら、気にかけてくれてたんだろう、 ちょうどのタイミングを見計らったようなメールを届けるために。 きみが支えになってくれたのは、このメールだけじゃなかった。 この後もだ。 実は、ゆみが父の幻覚症状におびえてるときに、またちょうど良くメールが来た。 「幻覚が見えるらしいから、注意してやってね。 誰でもそうなって、そして治るから、心配しすぎることはないんだよ。 周りがへこたれちゃ駄目だぞ。」 そうか、そーなんだ。 これって大丈夫なんだ。 きみは調べてくれたらしい。 ゆみは一人じゃないんだと思った。まるできみがそばにいてくれるようだった。 しばらくして、いとこ君からメールが来た。 「なんだよ、ゆみちゃん、おじさん手術したんだって?」 ゆみはきみに聞いた。「いとこ君に言ってくれたの?」 きみとゆみは、カッテに知り合ったんだけど、実はゆみのいとこの親友だったことが わかって仲良くなった同学年。 「いいや、言ってない。ゆみ助、日記に書いた?」 そうだったんだ。 母がお見舞いとかお互い様だから親戚には言わないわ、と言うので 父の手術は内緒だった。 日記を読んだいとこ君が、びっくりしてメールくれた。 「なんで黙ってんだよー!」 これと同じことを、ゆみと母はもう一回やりました。 「ゆみちゃん、おばちゃんち、もう無いなんて嘘だよねえ。」といとこのお兄ちゃん。 「あ、ばれた。ほんとだよ。壊して更地になっちゃった。」 お兄ちゃんは目を丸くしてた。いとこ君に聞いたんだって。 「大変だよ、ゆみちゃんちの隣、空き地になってる。おじさんとおばさんは ゆみちゃんちにいるらしい。」 そう言って、親戚で騒ぎになってると言う。 当の我が家には、何にも言ってこなかったけど。 こうやってここで日記書いてたら、いつかまたいとこ君が読んで、何か伝わって いくのだろうか。 父は、頑張ってます。 ゆみも頑張ってます。外で自由に動けない人の分も、ゆみはお外で働く係なんだよ。 そうです。昨年のこと。。。 父が建てた家、ゆみの世代で売りました。 悲しいこともあったけど、それでみんなが一緒の家で暮らせて、 緑の家だけでも残るなら、それが一番大事なことかなと思ったんだよ。 父の部屋は二階にあって、トイレは一階にしかなかったゆみの実家で、 手術後、やっぱりうまくは歩けなくなった父は不自由な暮らしをしていた。 家と土地を手放した理由は他にもあったけど、どちらにしても今後父と母が暮らすのには 不便がいっぱいあった家だった。 それでも父は思いいれがぎっしりの築40年近い家から、ゆみの家の一室に越すことに なったとき、さっさと覚悟を決め、荷物を潔くごくわずかにまとめて、 「いつでも準備は出来てるよ。」と言った。 集めた歴史小説500冊は、「きれいに読んでるから図書館に寄付して。」と言った。 好きだった図書館通いも、もう出来なくなってたからゆみたちに託した。 父の部屋の部屋になるところの準備ができたとき、文句ひとつ言わず越してきた。 何十年もお布団に寝てきたのに、ベットになったことにも、 「ホテルみたいだね。」と笑った。 無駄なものがない部屋は、実はゆみは「病院みたいじゃん」と思ったんだけど。 自分の部屋と、トイレと洗面所だけの父の生活が始まった。 実は、胃のほうは3分の一が残って、ほぼ順調に回復していった。 先日も、手術から一年だからとお寿司をとった。 前だったら二人前くらい食べていた父だけど、今は握りで7個くらいになった。 それでも、重湯から始めて、一年後には何でも食べられるんだから、 手術は充分大成功なのでしょう。 一瞬、このままボケてしまうんじゃないかと心配した幻覚症状もすぐに治り、 頭はいたって正常に回転するようになって退院できた。 でも、術後頑張って歩いたようには歩けなくなっちゃった。 なぜだかわからないけど、指令がうまく足に伝わらないときがある。 歩いていて突然神経が麻痺することがあって、急に転んでしまう。 さぞかし悔しいだろうなあ、と察するんだけど、父は一回も文句を言わない。 ただ淡々と、その状況を受け入れてるように見える。 ほぼ一日おきに、リハビリ施設のついたデイケアセンターのお迎えが来て、 そこでお風呂に入ってくる。 帰ってきたらまたお部屋に入っちゃうから、父がどう思って暮らしてるのか、 全然わからないでいた。 もう諦めてるのかなあ、と思ってた。 父はきっと、自分の状況を受け入れて、文句も言わず、あるがまままで仕方ない と思ってるんだろう、そうゆみは考えてた。 あの時手術をしたから、今また好きなもの食べて生きていかれてる。 それだけでも、すばらしいことなんだし・・・ まだ頭もボケていないから、新聞や雑誌や小説もいっぱい読めるし、 部屋にはテレビもラジオもあるし、ひとり暮らしじゃないし・・・ でも二階がLDKのゆみの家では、父は一緒に食卓を囲めない。 お食事はお盆にセットして持っていく。 同じ家にいるんだけど、ゆみとめったに会わないし、お話もめったにしない。 部屋に一人でいることが多くて、つまんなくないのかなぁ。 けれど、父にはありのままを受け入れる覚悟が出来ちゃってるんだろうな。 だから、特に何も望まず、今を静かに生きてるんだろう。 あのね、そう思ってたらね、ちょっと違ったの。 9月に、デイケアセンターの職員さんたちが、念願だった、と言って、 三人で遊びにテディベアテラス♪にお買い物に来てくれた。 そのときに、初めて...父の思いを知りました。 決して諦めてなかったんだ。 その意欲を聞いて、ゆみはやっぱり父の血をひいてるんだと思った。 頑張りたい気持ちがいつもある。 まだまだ発展したいと思ってる。 いつも父を世話してくれるデイケアセンターでの父の様子。 「うそー。それがほんとにうちの父でしょうか?」 と思わず聞いちゃいました。 長くなっちゃうから・・・ そのエピソードは次回の日記にします。ほんとに、目からうろこ!だったよ。 やっぱり人はいつも、いつでも、前向きに生きなくちゃいけないんだね。 ゆみの父は、まだまだ自分の可能性を信じて、毎回努力を続けているんだって。 今の自分より、明日の自分。 一歩一歩。前へ。。。 文字通り、歩きましょう!! さて、去年のゆみを支えてくれた人も、今頃頑張っているんだろうな。 前向きに生きてる限りは、ずっとお互い友達でいられるよね。 父の手術から一年。生きてることはすばらしいんだと、感じたこの一年でした。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月24日 00時57分35秒
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