はおうべっき。ここ数年気になっていた映画です。いやあ見ごたえありました。
友情、成功、嫉妬、裏切り、自棄と次から次へと展開する人間ドラマに、激流のような中国の現代史がかぶさり、運命に翻弄される京劇の二人の名優を描いた物語です。子供時代にわくわくどきどきしながら読んだ物語の、あの懐かしい感覚を呼び覚ますような映画でした。
あらすじを知らずにいきなり映画を観ると、子供の頃の小豆子がまるで女の子。そのつもりで観ていたので、途中で話が混乱しかけました(笑)。京劇も日本の歌舞伎と同じで、女性は女形の男優が演じるのですね。あのミャアミャア言う美女は女性だとばっかり思っていました(めちゃ無知やん)。それはともかく、京劇の美味しいとこ満載。高校の漢文で習う四面楚歌や虞美人、項羽と劉邦なども出てきます。
それにしても戦後中国の激動は、「大地の子」などで何となくわかったつもりになっておりますが、本当のところ私にはまだよく理解できていません。毛沢東語録を読んでいないせいかしらん。
中国やソビエトの、全体主義を前面に押し出した未熟な社会主義や共産主義のせいで、マルクスやレーニンが唱えた本来のそれらがいともたやすく否定されている現状は嘆かわしいことと言わねばならないでしょう。