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カテゴリ:時事
産経新聞に奇妙な記事が載っておりました。
-- 「男女別教育は学力アップ」 シンポで報告 2010/08/16 01:06 男女の違いを尊重した教育は、学力アップの効果が高いことなどが「第1回男女別学教育シンポジウム」で報告された。 「日本男女別学教育研究会」(中井俊已代表)の主催で、私立校などが協力。10日に東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で初めて開かれた。 基調講演した中井代表によると、10年前と比べると私立男子高は約4割、女子高は約3割減るなど私立中高などの共学化が進んでいる。一方で開成、灘、桜蔭といった東大合格者の多い学校の9割が男女別学という。 男女別学で学力が伸びるなど教育効果が欧米でも見直されている。国際学力調査で男子は理数、女子は読解力が高得点など特徴がある。また教師に対し、女子は「自分が大切に思われているか」、男子は「その先生に従っていいか」を重視するなど生徒指導上の違いもあるという。 シンポジウムでは校長らをパネリストに意見交換。授業を男女別棟で別学教育を行っている桐光学園中・高の伊奈博校長が、主人公の心情を読み取る国語の問題で女子の成績がいい一方、物理の授業で男子が力学について直感的に理解が早い例を挙げ、「男女の理解の仕方に明確に違いがある」と指摘。他の校長からも男女の特性をふまえた指導が効果を上げている事例が紹介された。 また都立高での経験が長い海城中・高の水谷弘校長からは「(都立で)昭和50年代は生徒会長やクラス委員といえば男子。その後10年は女子が副委員長になり男子を助けたが、いまでは男子は陰に隠れた」と“草食男子”が増えた現状に苦言も。 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/428446/ -- 「学力」を東大合格者だけを物差しにしてはかる胡散臭さ。 こういうのを大真面目に発表する方も、報道する方も、何を考えているのやらってところ。 そもそも、別学か共学か以外の要素が大き過ぎて、こんなものまともな比較なんてできません。たまたま、昔から東大合格者数を競っていた私立校に別学が多く、そういう学校は敢えて共学化しなくても生徒集めに苦労しないからそのまま残っていたってだけのこと。 それに「合格者数の多い学校の9割」って、まともな統計じゃありませんよって宣言しているようなものでしょう。だって、上から順番に数えて行って、これ以上範囲を広げたら「9割」と言えなくなるってところで線引きした、即ち、恣意的に基準を決めたって言うんですから。 しかしながら、この記事の本当の言いたいことは違うんでしょう。 だって、共学か別学かだけが焦点なら、 -- 「(都立で)昭和50年代は生徒会長やクラス委員といえば男子。その後10年は女子が副委員長になり男子を助けたが、いまでは男子は陰に隠れた」 -- こんな「共学校」にしか有り得ない事象や、 -- また教師に対し、女子は「自分が大切に思われているか」、男子は「その先生に従っていいか」を重視するなど生徒指導上の違いもあるという。 -- 性差による教師との接し方の違いなんてものに敢えて言及する必要なんて無いんですから。 ==================== で、実際問題「別学」とは言っても、東大合格者数の上位を占める私立校といったらほとんどが「男子校」。 私立校限定として、ネットで調べられる今年の東大合格者数の順位で見ると、別学が9割と言えるのは上位12校の範囲まで、そしてその中に入る女子校は、実は1校しかありません。それ以下まで広げて見比べてみて、女子校と共学校のどちらが多いかとなると、実は共学校。 その事実と、このことさら性差に拘った文章から読み取れる書き手の意志は、 「男の方が女よりも学力が上」 ですね。 そう言いたいなら、はっきりそう言えば良いのに。 でもそれだけの勇気が無いんでしょうね、産経には。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年08月20日 14時23分00秒
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