カテゴリ:国際経済
バブルを考える(32)
BIS規制…3 さて、BISの決めた自己資本比率規制の内容です。単純に言うと、それはユーロ市場での取引に参加できる銀行の資格制限です。 ユーロ市場参加行は、常に自己資本が貸出し総額(債権)の8%以上あることが、参加の条件であると決めたのです。これは銀行の側からみれば、自己資本の12,5倍までは貸し出せる、あるいは12,5倍以上は貸してはいけないということを,意味しました。 市場のトラブルは、貸しだし債券の不良化によって起こりますが、貸出しの全てが不良化することは、資本主義が崩壊しない限り、ありえません。ですから、自己資本の12,5倍以内の貸出しであれば、1部の貸出しが不良化しても、当該銀行の経営が傾く事がないであろう。自己資本比率を8%と決めておけば、ユーロ市場でのトラブルは避けられる。こういう判断でBISの判断は一致したのです。経済合理主義的判断としては、しっかり筋は通っていると、私は判断しています。 次ぎに、BISのいう自己資本とは何かを考えます。 そこでは、日本の強い主張もあって、次ぎのような妥協が図られました。 先ず、固有の意味での自己資本、即ち資本金、資本準備金、非累積型優先株などをコアとなる自己資本、T1とし、その他に、補完的自己資本T2を認めたのです。ここに、劣後債、劣後ローン、貸し倒れ引当金と並んで,株式等の含み益の45%までを、組み込むことが認められたのです。 日本の強い主張を,欧米諸国が受け入れたのです。株式価値は常に変動しますから、含み益も日常的に増減します。従って、株式を自己資本に算定すると、自己資本も常に変動するため、貸出し総額をその12,5倍に抑えることが、相当難しくなることも予想されたからです。 そこで、もう1点、株式などを含むT2は、T1と同額までしか自己資本に組み入れてはならないという、項目が追加されたのです。 87年末、BIS規制が合意された時、日本はブラックマンデーのショックをいち早く解決し、バブルの絶頂期に駆けあがる準備を整えていた時でした。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.10.31 11:09:16
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