カテゴリ:政治・経済・社会・文化
原発事故を考える (1)
今日から大震災の経済的影響を記そうかと考えていたのですが、それとの絡みもあって、次第に大事になりつつある原発事故を取り上げることにしました。 文系人間のにわか勉強ですから、間違いがあったら御指摘ください。 今回の大震災の直撃にあった原子力発電所は、全部で4ヵ所です。東北電力の女川原発と東通原発、そして東京電力の福島第1原発と第2原発です。このうち、今回の事故に絡んで、全く話に出てこない東北電力の東通原発は、定期点検中で稼動していなかったのだそうです。 稼動していた3ヶ所の原発では、稼働していた原子炉全てで、地震発生時に自動的に燃料の間に制御棒が差し込まれ、ウラン燃料の核分裂は止まりました。このうち、女川原発と福島第2原発では、すべての原子炉で、炉内の温度が100度以下になる冷温停止状態に達して、安全確保に成功しています。 問題は福島第1原発についてのみ、残ったのですね。この福島第1原発には6基の原子炉があり、このうち4~6の3基は、定期点検中で原子炉は稼働していませんでした。運転中に原子炉内にあった使用済み核燃料は、原子炉の上部から取り出され、使用済み核燃料貯蔵プールに入れられていました。 稼働中の1~3号機では、地震発生時、稼働中の原子炉内にあった燃料棒の集合体の間に制御棒が自動的に落下し、核分裂は止まりました。しかし、ウラン燃料の分裂が止まって原子炉内の主な熱源がなくなっても、まだ炉内には超高温の余熱があります。 核燃料であるウランの核分裂の過程で、中間的な物質として炉内に生まれたセシウムやヨウ素同位体といった放射性物質の核分裂が続くからです。その余熱的な核分裂が少なくなって炉内の熱が下がり、冷温停止状態になるまでの2日から数日間、原子炉内の冷却水を循環させて、核燃料を冷却し続ける必要があるのです。 原子炉停止直後の余熱的な核分裂は、ウラン燃料の核分裂で出る熱量と比べると20分の1程度とされ、比率としては小さいのですが、余熱を冷ますためには、炉内の冷却水を炉外の冷却装置(復水器)に送り込んではまた戻すという、循環作業を何日か続ける必要があるのです。 この冷却水を循環させるにはポンプを動かし続けることが必要です。福島第1原発でも、すべての原子炉が地震の揺れには耐えました。M9,0という今回の地震の強度は、原子炉の設計時に想定した上限の震度(M8,2))を大きく越えていたのですが、地震で原子炉が壊れることはなく、制御棒も自動的に落ちて燃料の核分裂を停止させることは出来たのです。 ここまでの耐震設計には、何も問題はありませんでした。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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