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テーマ:歴史なんでも(780)
カテゴリ:米外交史
1972年のリチャード・ニクソン米大統領再選運動で暗躍した「ニクソンの汚い小間使い」とも言えるロジャー・ストーンがJFK暗殺事件等について書いた『ニクソンの秘密』という本を近々出すとメディアに紹介されていたので、これに少し触れておきましょう。彼は既に昨年『ケネディを殺した男』という本で、リンドン・ジョンソンがJFK暗殺の背後にいたと主張しています。
今回の本でもストーンは、リンドン・ジョンソンがJFK暗殺で動いていたと書いているようですが、その点を除けば、おおむね私の意見と一致します。特にニクソンがJFK暗殺事件の真相を知っており、それを使ってウォーターゲート事件を乗り切ろうとしたとストーンが主張している点は、その通りではないかと思っています。 2000年に出版された拙著『ジョン・F・ケネディ暗殺の動機』(近代文芸社)に、私はこのように書いています(〔〕内は文章がわかるように付け足した部分)。 「〔リチャード・ニクソンが〕ケネディ暗殺に直接関与したことを示す証拠は一切ない。ただ、〔CIAの〕キャンベル副長官らと親しかったことから間接的に真相を知っていた、もしくは真相に気付いてきた可能性が高い。ウォーターゲート事件で窮地に立ったとき、なおも政権延命を図り、その〔JFK暗殺事件の〕真相の一部を取引にしようとしたことも十分にあり得ることだ」 実際、ストーンによると、ニクソンはウォーターゲート事件発覚後、苦境を脱するためにCIAがJFK暗殺に関与していたことをばらすとCIAを脅したのだといいます。これに対してCIAは、自分たちの関与をばらされないようにニクソンを暗殺しようとまでしたとストーンは主張しています。 これは十分にありうる話です。とにかくCIAがJFK暗殺への関与をもみ消すために、真相を知ってしまったCIAベテラン局員コード・メイヤーの妻メアリー・メイヤーなど大勢を殺しているのはまず間違いありませんから。 結局ニクソンは暗殺されませんでしたが、ロバート・ケネディは殺されましたね。その辺のいきさつや、リンドン・ジョンソンがなぜJFK暗殺陰謀説を躍起になって打ち消したかの理由も拙著に書いてありますので、ご興味ある方はお読みください。 1972年6月20日にホワイトハウスで録音された、いわゆる「ニクソン・テープ」から、18分30秒分が秘密裏に消去されましたが、そこにJFK暗殺事件をめぐるCIAとニクソンの熾烈なやり取りが記録されていたのだと私は思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.06.13 00:40:52
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