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テーマ:お勧めの本(7218)
カテゴリ:これぞ名作!
『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』の続きです。
この3巻目の前半では、りゅうの子ボリスが主人公となって活躍します。 1・2巻では、エルマーが両親にまもられた家庭からとびだして、どうぶつ島やカナリア島で冒険をし、成長して家に帰るまでが物語られますが、りゅうのボリスも、エルマーと同じく、両親(とおおぜいの兄弟)にまもられた家庭からとびだしたのです。ところが、運悪くどうぶつ島でとらわれの身になったボリスは、エルマーに助け出されますが、2巻の嵐ではそうとうまいってしまって、自己嫌悪に陥っていました; 「エルマーくん、ぼくは、ちっともりゅうらしくないねえ。ちょっとしたあらしにあえば、おっこちちゃうし、あさい水の中に、しばらくたっていれば、こちんこちんになって、うごけなくなっちゃうんだもの」 ――R・S・ガネット『エルマーとりゅう』わたなべしげお訳 そこで3巻では、ボリスが自分一人で旅をして試練に立ち向かい、(最後にはエルマーの知恵を借りるのですが)見事に家族を救います。 りゅうの家族たちにしてみれば、雲から落ちて行方不明になっていた幼いボリスが、無事に家に帰ってくるだけでなく、エルマーという友だちを得、家族みんなを救うのですから、立派に成長したわけです。 今度も見開きに楽しい地図が載っています。1巻・2巻にくらべてずいぶん広範囲で詳しい地図になっていますが、挿絵のかわいらしさも手伝って、やはりおもちゃか模型の町や山のようです。 作者はアメリカの人ですが、この地図の上半分(西)に広がる「ごびごびさばく」と「そらいろこうげん」は、名前からして何となくアジアのゴビ砂漠と天山・ヒマラヤの高原地帯の雰囲気があります。 そういえばゴビ砂漠も名物は砂嵐で、遺跡をあばき宝をさがす探検隊は砂嵐にはばまれて立ち往生…という話がありました(神坂智子のコミックス『シルクロード砂漠幻想』)。 ともかく、西洋の伝説の竜の生き残りは、今ではこの「そらいろこうげん」のボリスの家族だけらしいのです。そのりゅうたちを人間たちから守ろうというのが、後半のエルマーの使命になっています。子ども部屋の冒険から海洋冒険をへて、彼の冒険も、ただの楽しみや偶然ではない、りゅう種族の運命をかけた重大なものになっています。 エルマーが徹底してりゅうの味方につき、人間(大人)たちをだしぬき、ごまかし、秘密を守り通すのも、印象的です。 最後にエルマーはやっぱりあたたかな家庭に帰りますが、「りゅうそうどう」を新聞で読むお父さんに対し、自分の立場を守りぬきます。 おとうさんは、しんぶんをゆかにおとして、エルマーのかおをじろじろとみました。 「おまえ、このじけんと、なにかかんけいがあったのかね? …」 「ぼくがだって?」…「まさか、おとうさん! おとうさんは、そんなばかばかしいはなしを、ほんきにしちゃいないんでしょう?」 ――R・S・ガネット『エルマーと16ぴきのりゅう』わたなべしげお訳 このとぼけ方、感心してしまいます。みかんばかり食べていた旅から、今回はおとなっぽく板チョコをかじる旅、そして帰宅後は大人顔負けの食事をぺろりと平らげて、エルマーは本当にもう、一人前ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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