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テーマ:お勧めの本(7217)
カテゴリ:かるいノリで古典を
「第6編」つづき。
ブランクサム城でマーガレットとクランスタウン卿との婚礼の宴がおこなわれます。いくさの時も祝いの時も、にぎわう城のありさま。 ところが、吟遊詩人たちが祝いの歌を披露している時、ふいに不思議な影が広間を覆い、あたりは闇となります。客人たちは恐怖に立ちすくみ、こりずに悪さを働いていた小人の小姓は地に倒れ、奥方は風に邪悪な気配を感じとります。 突然、真っ赤な稲光がほとばしり、あたかも城は火に包まれたよう。ついで稲妻の閃光が小人の小姓の上で炸裂し、くすぶる煙が広間にたちこめ、城はもちろん、遠く離れた所の勇者も見張りも驚きにとびあがって武器をとりました。やっと恐ろしい雷鳴がやんだ時、小人の姿は消えていました。 客人たちによると、この時、城の広間で「来い、ギルピン(小人の名)!」という怒声と、伸びた腕、ひるがえるマントなどが目撃されたそうです。中でも、血が凍るほど驚きに青ざめたデロレインのウィリアムは証言します、現れて小人を連れ去ったのは魔術師マイケル・スコットだった、と。 人々はこの出来事に恐れおののき、皆でメルローズ修道院に巡礼をおこなって、マイケル・スコットの魂をしずめるために祈りを捧げようということになります。また、奥方は魔術を永久に放棄することを誓います。そして、死者へのおごそかな祈りの歌で、この長大な叙事詩は幕を閉じます。 歌い手である老吟遊詩人は、さすらいをやめてニューアーク城の近くの小屋に落ち着きます。 彼は気高いいさおしを歌い、 騎士道の物語をうたった。 うっとりと聞き惚れた旅人は日の傾くのも忘れて そこにとどまり、 貴族の若者たちもその歌を聞くために 鹿狩りをやめてしまうほどだった そしてヤロウ川は渦巻き流れながら 吟遊詩人の歌に伴奏するのだった。 ――「最後の吟遊詩人の歌」より第6編第575~582行(訳はHanna) 〈完〉 いかがでしたでしょうか。連載にとても長くかかってしまいました。でも本当は、ご紹介した本筋のストーリーの合間に、老吟遊詩人自身の体験談や、故国スコットランドへの賛歌、また脇役の登場人物の挿話や挿入歌などがまだまだたくさん入っているのです。 ともあれ、騎士道と魔法と恋の叙事詩、これぞファンタジーの原点だな、と何度読んでも感動する私です。ファンタジーブームの今日このごろ、この物語がシブイ配役で映画化されたりしたらいいなあ、などと妄想しつつ。 なお、つたない翻訳のため、きっと間違っているところもあるかと思いますし、趣味で意訳もしています。悪しからずご了承ください。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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