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テーマ:読書(8220)
カテゴリ:本日読了
2022/09/03/土曜日/穀物すなわち稔侯
読了2022/08/21/日曜日/曇天 ![]() 〈DATA〉 早川書房 / 著者 ジョージ・オーウェル 訳者 高橋和久 2009年7月25日 発行 2020年1月15日 42刷 〈私的読書メーター〉〈恐ろしい小説だ。欧米に比して日本はまあ長閑な国だった明治までは、が私の認識なのだけど。敗戦、原爆投下、原発事故を経て自民独裁の元、密かに進行していたのが歴史や公文書、統計の改竄であり、税金の歪な他国供与でありカルト一体化の洗脳教育であったのだから、この小説は今現在痛い程心身に刺さるではないか。党に魂は売らないウィンストン第一部、ジュリアとの逢瀬の短い夏のような第二部。二重思考体現者オブライエンに蝕まれる第三部構成。戦争は平和、自由は隷従、無知は力。己の属する団体なり組織が隠し味に用いてないか点検要する。〉 主人公ウィンストンが生きている1984年は1940年代から眺められた現在のパラレルワールドかもしれない。 出発された当初はマッカーシズムの赤狩り吹き荒れるアメリカで反共のパンフレットのような扱いだったという。 驚くなかれ。かの赤狩りの亡霊と自民党超保守派、安倍祖父、岸の亡霊がデュエルで勝共連合→旧統一教会と一体化の発展という現代史の裏面がヒット中 朝鮮戦争勃発から2022年の今、実は右も左もなく、権力はただ権力の生き残る闘争を日夜執行しているのだ。 その姿を鮮やかに描く『1984』は恐ろしい。 オブライエンが熱情込めて指導し、慈しむかのように射殺するウィンストンについて。 彼の幼児期の記憶、それに対し彼が未だに持ち続ける感情、何が悲しくて何が悲惨で、そして何が美しいと感じるのか。 イングソックを遂行する為に人工的に造語されているニュースピークなる言語で思考形成される子どもたち。 公開処刑を娯楽にしている彼ら。 一切合切書き換えられる歴史。 それにあがらうように記憶を留めようと日記に記すウィンストン。 2足す2は4である。世界を敵に回し、たった一人それは真実だ、という狂気。それに耐えられるのか。 地動説の元に処刑になることとどこか似ている。 付録。オールドスピーク「言葉」が強く生き残り、狂気の世界を終わらせるか修正させるのか、そんな暗示が仄めかされる。 言葉で書かれたものは幾らでも上書きされる。 ただ、モノは確かに確実に姿を留める事ができる。破壊されない限りにおいては。 私もウィンストンのように古いものが好きだ。人の手の働きの気配のあるものが。 さて、現在日本。統一教会教祖の祭りごとには金正恩もトランプも社交辞令を欠かさない。権力行使資金が湯水のように日本から吸い上げられる、そんな装置を作り出した教祖への敬意だろうか。 自分の周囲がみな雪崩を打ってこの教祖とやらに平伏す中で、ウィンストンのように自由意志を貫いている家族を社会や既存の宗教がどれだけ支援できるのか、そんな事まで考えてしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.09.03 08:51:08
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