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2022.09.27
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テーマ:読書(8222)
カテゴリ:本日読了
5022/09/19/日曜日/山では時に木漏れ日


〈DATA〉
中央公論新社 / 著者 会田雄二

1962年11月15日初版発行
2016年6月10日92版発行
2018年1月25日改版発行

〈私的読書メーター〉〈『日本軍が銃をおいた日』に合田さんの引用があり手に取る。中2の時『日本人の意識構造』を読んだ記憶も懐かしく。これは敗戦から引き上げ船に乗るまでのビルマ英軍収容所での氏の1年9ヶ月の記録だ。文章は平易で何というか若々しく読みやすい。敗戦後現地の劣悪な施設でろくな食事も与えられずきつい肉体労働に従事された、だけではなかった収容所暮らし。『破獄』の脱獄者さながら英軍との知恵比べの泥棒家業、盗品に絡むインド兵ビルマ人のお国気質。有色人種が欧州人を打ち負かしたアジアの溜飲、その余りに器用な手先の大義なき消費の悲哀。

20代で歩兵として応召され辿り着いたのはビルマ

マラリアに侵され、ノミシラミに悩まされ、周囲は赤痢で死んでいく。戦で死ぬのではないのが更なる悲劇。

死んだ兵士を埋葬することさえ叶わず、まして遺骨を遺族に持ち帰ることは不可能。

日本兵の器用さが知られて英軍が当地の民営工場に捕虜らを働かせ金を取るようになった。

日本兵がさぼっているとビルマ人監督は運と給料が高いのだから、マスターたちはもっと働けという。

この監督は英軍の『日本捕虜使用について』というパンフレットを持っていた。

曰く
日本兵は仕事をやれと強制すると反抗してかえって働かなくなる。自信が強いからなるべく煽てて使うとうまくいく

時間制だとさぼるから、請負制にしろ。ただしよく手を抜くから監督に注意しろ

日本兵の能力はインド人やビルマ人労働者の7.8倍であり、技術も素晴らしいから、とビルマ人の何倍かに当たる日当額を記してあったとのこと

更にそれで捕虜の衣食住を賄うとあったが、あの内容ではよほど中間搾取があったと合田氏は想像している。

続けて

インド兵はこのような日本兵に尊敬の念を持ったのだろう。その点はたしかに私もたちはえらい、と記す。

そして
しかしわたしたちの精神的な気概、例えばイギリス兵に対する態度や民族的自覚などは残念ながら情けない限りであった。

個人としてはよくても、群衆となると手に負えぬ馬鹿なことをする。

この点、戦前も捕虜中も現在もちょっとも変わりがなさそうだ。と続く。

私たち日本人はただ権力者への迎合と物真似と衆愚的行動と器用さだけで生きてゆく運命を持っているのだろうか。

という独白に接して、この本を今読む今日的課題が見えるのは、いささか鼻じらむなぁ。

当に脱獄囚が、お気に入りの刑事さんに捕まえてほしくてほら、俺ならこんなに器用にいくらでも脱獄できちゃう、といった体でニマニマ出頭する『破獄』の、あの緒形拳。

あれぞ日本人の真姿か。プリンシパルなんか知らんねえぇ。

ちょっと映像的なシーン
渡辺一夫『魚の歌』とのカイゴウ

思い出した百人一首
おほけなく浮世のたみにおほふかな 
わがたつそまに墨染の袖





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最終更新日  2022.09.27 13:30:52
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