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カテゴリ:弁護士業務
参院選が終わった今、この時代に生まれ合わせてしまった法律家としての責任を、私ができる形で果たしたいと思っている。
さて、先日、とある会合で、中国籍の知識人とお会いした。 「今度の選挙で政権与党が勝つと、憲法が改正されるかもしれないので、私たち日本人は、選挙の結果に大きな関心を寄せている」というお話をしたところ、彼ははっきりと、こう述べた。 In China,the constitution is useless. So,to argue about the constitution is meaningless for me. 中国では、憲法は役に立たない。 だから、憲法について議論することは無意味だ。 実際のところ、中国がそのような状況なのかどうかは私にはわからない。 でも、憲法を語ることに意味が見いだせない世界は、想像するだけで背筋が凍りそうになるほど怖かった。 その世界には、私たち法律家が当然の前提とする「法の支配」が存在しないからだ。 憲法は、「国家権力を縛り、国民の権利義務を守る基本法」である。 憲法が国家権力を制限するからこそ、憲法が国家権力に義務を課すからこそ、憲法をどんな内容にするかによって、国の形は変わる。国民の生活が変わる。 でも、憲法が「国家権力を縛る法」という性質を失ってしまえば、国の形を決めるのは、最早「憲法」ではなく、「時の権力者の意思」となる。 国家権力を縛る性質を失った憲法は、どんな美辞麗句に彩られていようと、国民にとっては、「役立たず」でしかないし、内容について議論しても「無意味」である。 私は、ずっと胸を張って言い続けたい。 The constitution is useful for us. To argue about the constitution is meaningful. 憲法は私たちの役に立つ。 憲法を議論することは有益だ。 私は、今もこれからも、法の支配が存在する世界で、一人の法律家として生きていきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.07.13 23:51:56
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