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カテゴリ:東日本大震災
先日、静岡県災害対策士業連絡会主催の研修会講師として、吉江暢洋弁護士(岩手弁護士会)が講演をして下さいました。 吉江さんは、実は司法研修所の同期(56期)なのですが、東日本大震災をはじめとする岩手県内の災害対応だけでなく、日弁連でも縦横矛盾に活躍しています。同期の煌めく星の一人ですね。 ご講演は、平成28年10月に岩手県岩泉町を襲った台風10号災害の被災者支援に取り組む中で、多士業及び福祉関係機関が連携しての活動を中核とした「一般社団法人岩泉よりそい・みらいネット」の立ち上げに至るまでの経過や活動内容をご紹介頂くというものでした。 この存在自体が画期的な社団法人は、人口9000人の町で1年間に60件もの相談を様々な士業や組織が連携して対応するという成果を挙げているそうです。 ただ、私が感動したのは、成果そのものは勿論ですが、吉江さんが、被災者支援に取り組む中で、感じたことを、気付いたことを、自分で深く受け止め、思考し、自分の言葉で発信し、周囲を巻き込みながら実行に移していくそのプロセスそのものでした。 まず、被災者支援をしている中で「見えてくる問題」の指摘が、現場に根ざして、とても具体的です。 でも、吉江さんは、ここで止まらず、思考を深めていくのです。 「見えてくる問題」は、たまたま被災時に見つかっただけで、普段の日常業務で遭遇する問題をちょっとアレンジしたり、応用したりしているだけじゃないか。普段から破産すべき人を破産させるだけでは仕事が終わらず、福祉に繋いだりしているじゃないか。 こう考えると、被災者は、日常業務で接する困った人の極限状態にあるだけで、そうすると、災害法制とか被災者支援というように限定して考えるんじゃなくて、「普段やっていること」の延長線上にあると考えたらいいんじゃないかと。先が見えない被災者の状態は、先が見えない通常業務の依頼者と同じなんだから、通常業務のノウハウを活かして長期的に見守っていけばいいじゃないか。 被災者は、実は、私たちが日常業務で遭遇する「社会的弱者」の一部であって、地域全体の「社会的弱者」が抱える問題を、日頃から、多士業多機関で連携して出来るシステムを構築できれば、どんな災害が来ても慌てる必要はないのではないか。 ・・・現場に根ざした気付き、確信から「普段から絶対的に、士業連携、福祉連携が必要だ」という結論に至って、自分の伝手や人脈も活かしつつ、組織を構築していくストーリーを聞きながら、巻き込まれた人々は、吉江さんの言葉に心を動かされたのだろうなあとちょっと目がうるうるするような感じで、一言一句がきっちり心に届く吉江さんの言葉を聴きながら、思いを馳せていました。 本当に素晴らしい講演を拝聴できました。吉江さん、本当にありがとう!!!
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Last updated
2018.09.01 09:56:46
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