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アラ還の独り言

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2017年07月31日
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カテゴリ:プレスリリース
アストラゼネカは2017年7月27日、 MYSTIC試験(ヂュルバルマブ<免疫チェックポイント阻害剤>とトレメリムマブ<CTLA-4活性化剤>の併用とヂュルバルマブ単独と標準化学療法<プラチナ製剤中心>を肺がんに対する多施設共同無作為化非盲検国際試験)において標準治療に比べて併用群、単独群とも無増悪生存期間の延長を認めなかったことを報告しました。
 試験は全生存期間を評価するために続行するとのことです。

 肺がんの未治療患者を対象にしています。また、PD-L1が幹細胞の25%以上に発現していることを受け入れ基準にしています。

 肺がんの免疫チェックポイント阻害剤が第一選択になり得るかに関してはPD-L1発現率が問題である可能性が高い可能性が示されていました。今回の試験はその条件を入れても第一選択にはなり得ないという結果です。

 癌における標準治療はほとんどが併用療法です。標準治療よりも新薬の方が効くような感じがしますが、決してそのようなことはない可能性が高いことが示された試験の一つにMUSTIC試験はなってしまいました。

 新薬は単剤で効果を確認することが普通です。ティーエスワンのように効果増強剤を配合したものはありますが、癌の世界では最初から併用を前提にしているものはありません。
 
 高血圧などでは併用の利点が示されたときに合剤が発売されていますが、がん治療の場合にはそのまで進んだものはありません。

 この結果を見る限りでは、薬価を取っていない免疫療法にさらに免疫チェックポイント阻害剤を併用することに関しては、少なくとも最初の治療では行うべきではないと考えるべきだと思います。現在、未認可の免疫治療に免疫チェックポイント阻害剤を併用するすれば素晴らしい効果があるかのような宣伝をしている医院も見かけますが、疑ってかかった方がいいようです。

 大腸がんという適応外ですが、標準化学療法がしびれの副作用で、1剤減らしたところ再発、本人が他の化学療法を拒否したため、漢方薬を使用したところさらに悪化、放射線療法を行ったところ、症状は安定した、しかし患者の希望で免疫チェックポイント阻害剤を低用量投与したところ重症筋無力症を発病したという報告もあることから、自己免疫疾患の副作用は投与量に関係しない可能性も示唆されています。(ニボルマブ投与後に筋炎合併重症筋無力症を発症した 1 例、臨床神経 2017;57:373-377)

 免疫チェックポイント阻害剤を最初に使うことと適応外の癌に使うことは避けた方がいいようです。標準治療によって、免疫機構が破壊されているから最初に使った方がいいのではという意見もありますが、現在のところ、それを支持するデータはありません。免疫チェックポイント阻害剤の最初の試験は、他剤無効あるいは再発の患者を対象としているので、そのような患者さんには有効である事は、無作為化比較試験で証明されています。(ただし、その試験は一つか二つであり、メタアナリシスや併合解析ではまだ証明されていないので、エビデンスレベルはIIです。)

 標準治療に関しては欧米では複数の無作為化比較試験がたくさん行われ、エビデンスレベルがIとなっています。(日本ではスポンサーの問題で無作為化試験が一つ行われてればましレベルです)。

 高薬価を問題にするのであれば、標準治療の素晴らしさを税金で日本人を対象に明らかにすることが結局、安く上がるような気がします。(小さな声でそのためには、治験の経験が多くて。4倫理性の高いお医者さんがもっと必要です)。





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最終更新日  2017年07月31日 19時01分11秒
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