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蒼い森の備忘録

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2008.06.17
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カテゴリ:本・まんが
思春期の少女の微妙繊細な心の内側を見事に描いた”むすめごころ”。歓楽街浅草の底辺で、門付や踊り子として、ひたむきに生きる三姉妹を描く”浅草の姉妹”。一幅の名画を見るように哀しく美しい”夕映え少女”など、ノーベル文学賞に輝く川端文学の初期珠玉短編、七編を収録!
(カバー袖より)


懐かしい懐かしい「コバルト文庫」の一冊です。
映画化されたと聞き、何十年か振りに読み返してみました。


川端康成の名前を初めて知ったのは、漫画「古都」(1972年 週刊少女フレンド22号~23号 作画:大和和紀)でした。
大和和紀の美しい画の効果もあり、京都を舞台に運命に翻弄される美しい双子の姉妹の物語が、しっとりとした落ち着きのあるタッチで描かれすばらしい作品になっていました。これまで何度も映画化・ドラマ化されていますが、この漫画を超えるものはないのではないかと思っています。

川端の作品はそんなに多く読んでいるわけではないのですが、その静謐さ、描かれる女性が一見弱々しく見えながらもただただ運命に流されているのではなく、凛としたしなやかな強さを持ってそれを受け入れつつ前を向いて行く、というところに惹かれます。
また、非常に絵画的というか、情景が見えるような描写が好きです。


ノーベル賞受賞などと聞くとちょっと敷居が高く感じてしまいますが、時代時代の風俗、あるいはいつの世も変わらぬ少女の心情が描かれており、ジュニア世代の少女が読んでも何か共感するところや心揺さぶられるところがあるのではないかと思います。



「夕映え少女」
むすめごころ(昭和10年)
イタリアの歌(昭和11年)
童謡(昭和10年)
金塊(昭和13年)
浅草の姉妹(昭和7年)
夕映え少女(昭和11年)
正月三ヶ日(昭和15年)


内容はうろ覚えだったのですが、「イタリアの歌」がとても印象に残っていて好きでした(他の作品はほとんど憶えていませんでした^^;)。
印象として、失われつつある愛、それでも生きてゆく主人公の悲しみを湛えた強さに引きつけられたような記憶がありました。ベッドに横たわり歌を口ずさむ主人公の姿が、まるで映画の一場面のように脳裏にひらめいた覚えがありました。
読み直してみると、
「その人間全体が焔となり、わっ、わっと叫びながら、焔のまま飛び上がって、腕を振り狂っていた。ちょうど、火の翼の蝶が悶死するありさまだ。」
という書き出しで始まる、ちょっと異色な作品でした。
愛する人が苦しみながら死んでいくことを知りながら「家なき子」の「イタリアの歌」を歌う主人公の姿に、感情を表現する描写がほとんどないのに切なさを感じます(運ばれていく愛する人の亡骸に手を伸ばしながらも触れなかったところとか…)。
それに病院内の人間模様が絡められていたりして、やっぱり面白い作品だと再確認しました。


「むすめごころ」は好きな男性と親友を結びつけるという、とても複雑な「むすめごころ」を描いた作品です。
大好きな二人だから一緒になってほしいという気持ちと、ふわっとした寂しさが同居する乙女の心が、自分にはこんな経験ないのになにか懐かしいような涙ぐみそうな気持ちにさせます。
また、戦前の女学校(のみならず、社会生活全般)のおおらかな明るさに見られる「古き良き日本の姿」、今の時代では忘れられかけている「娘らしさ」「男らしさ」などを感じることができます。


「浅草の姉妹」「むすめごころ」とほぼ同時期でありますが、まったく世界が違います。
浅草で門付けや踊り子という底辺の生活をしながらも、その中で懸命に生きている娘たちの姿が描かれています。
こちらも見たことのないはずの当時の夜の浅草の賑わい、空を渡る飛行艇、そこから見える裏町の様子などがまるで目の前にあるかのように見えてきます。



映画「夕映え少女」「イタリアの歌」「むすめごころ」「浅草の姉妹」「夕映え少女」の4本のオムニバスになっています。
公開劇場が限られていて残念です。DVD出ないかな~?

 「夕映え少女」ホームページ

※追記(08/12/31)
「夕映え少女」 予告編 




『夕映え少女』川端康成
発行:1977年
発行所:集英社 コバルト文庫
価格:¥200
(上記は絶版のようです。このように美しい装丁でした。)

「夕映え少女」コバルト文庫


再販されましたが、これも絶版のようです。が、こちらはなんとか入手することができるようです。(映画のホームページに問い合わせの連絡先が載っていました。)
発行:2006年
発行所:新風舎文庫
価格:¥1260(税込)
「夕映え少女」新風舎文庫




『夕映え少女』2007年(日本)
原作:川端康成

「イタリアの歌」
監督:山田咲
脚本:小林美香
出演:吉高由里子、高橋和也、他

「むすめごころ」
監督:瀬田なつき
脚本:菅野あゆみ
出演:山田麻衣子、高橋真唯、柏原収史、他

「浅草の姉妹」
監督:吉田雄一郎
脚本:山田卓、菅野あゆみ
出演:波瑠、韓英恵、三村恭代、河合龍之介、他

「夕映え少女」
監督:船曳真珠
脚本:多和田紘希
出演:田口トモロヲ、宝積有香、五十嵐令子、円城寺あや、いしのようこ、他





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Last updated  2010.10.07 03:09:31
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「夕映え少女」について   マルジナリア さん
淡紫さんのところにも少し書いておきましょう。明るく、元気だけど、ちょっぴり陰りのある少女達、川端のイメージだったのでしょうね。
主人公達の言葉遣いがよいのは感心します。川端は少年少女小説をもっと書いているはずなのですが、見かけません。どこかで文庫にしてくれないものかと思います。
「浅草の姉妹」は「浅草紅団」とか「浅草祭」に通じている作品で初期川端らしいし、「夕映え少女」はやや芸術性の高い作品で難しいと思いました。古い記憶を掘り返してみると、こんな感想が残っています。
TB、ありがとうございました。^^ (2008.06.18 03:08:40)

Re:「夕映え少女」 川端康成(06/17)   no_tenkey さん
そちらは大きな被害がなかったとのことで、ホッとしています。余震もかなり大変みたいですね・・・

川端康成はあまり読んだことないんです・・・
いろいろ短編も書いているんですね。
Amazonのマーケットプレイスで、ソノラマの初版が8000円で出品されているのを見て、「ひえええぇ・・・」でした(>_<)
(2008.06.18 23:12:30)

マルジナリアさん    淡紫 さん
こんばんは。わざわざこちらにもコメントくださりありがとうございます。

本当に言葉遣いの美しさには感嘆しますね~。
良家のお嬢さんはもちろん、夜の世界の蓮っ葉な言葉でさえ下品じゃないんですよね。言葉は変化していくものですから、仕方ないと言えばそうなんですが、今の言葉とか言い方って品がないと思ってしまいます(人のことは言えませんが…^^;)。
「夕映え少女」は主人公の目を通して描かれているため、なぜ?というのが解らず唐突な終焉を迎えるので、少女の心を想像する余地がある分余韻が残るような感じですね。映画でどのように表現されているのか興味深いのですが、DVD化されるかどうか…。

「浅草紅団」「浅草祭」は知りませんでした^^;
「夕映え少女」はタイトルの響きと表紙の美しさに惹かれて買ったようなおぼえがあります。
引っ張り出して読み返してみてよかったな~と思いました。ありがとうございました<(_ _)>

また気が向かれましたらお立ち寄りいただけると嬉しいです。わたしも伺わせていただきますね^^
(2008.06.20 00:36:57)

no_tenkeyさん   淡紫 さん
こんばんは。ご心配いただきありがとうございました。2~3日前から天気が変で竜巻の被害とかあったんですよ。前兆だったのか…?。とにかく、被害にあわれた地域の復興が早く為されるといいなと思います。

わたしも川端は文中に出てくる「古都」「夕映え少女」あと2~3作くらいしか読んでないんですよ^^;
初版¥8000とはビックリ(@_@;)!
わたしのは2版なんですが、売りに出す気にはなりませんね~^^
大事にとっときます^^

コメントありがとうございました。
(2008.06.20 00:46:04)


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