◆最後の買手・米国の終焉
●先日 米国の著名投資家ジムロジャーズが、「英国は金融がめちゃめちゃになり、北海油田も遠からず枯渇する。英国はもう終わりだと、投資をすべて引き上げた」と発言したら、英からすぐさま不快感と反論が出ていた。一投資家に 公が反論せざるを得ないほど深刻と言うことだろう。大きな動きで見ると、米国も同様の傾向だ。再びエコノミストからの紹介だ。●米国のデフレの可能性は昨日載せたが、米国(GDP1360兆円)の「最後の買手」としての役割は、今後世界で次第になくなりそうだ。つまり米国民は 生活水準を少し落としてつつましくなる。米国民の過剰消費はGDPの17%に上る。2.5兆ドル(225兆円)相当が、03年以前の住宅ブーム前までと比べると、過剰になっている。この額の相当分が海外からの、輸入によるものだ。07年で7000億ドル(63兆円)が貿易赤字となっている。反面 内需の弱い新興国はこの額に見合う恩恵を受けて、経常黒字(貯蓄超過)になり、余裕資金を再度、米国債などに投資して、米赤字を埋め合わせてきた。最後の買い手と、内需の弱い新興国との絶妙な蜜月バランスが 今まで機能してきたわけだ。この効果は、米国の長期金利を低位安定させて、06年ピークにいたる住宅投資を、支えてきたが、その後、住宅バブルがつぶれ、今回危機の震源になったことは、ご承知の通りだ。●IMFは09年に米・経常赤字が急減するだろうと予測している。米が消費を抑えて中南米・東アジアの新興国からモノを買わなくなると、米GDPの1.4%・200億ドル(1、9兆円)程度の需要減になるそうで、中国が0.7% 日本が0.3% 東アジア全体で0.5% 中南米が0.4%位成長率を下げると言う試算がある。今まではプラス効果できたわけだから、実質日本が0.6% 中国が1.6% 中南米が1・0%の成長下押し圧力となる。●今日の新聞など見ると、日本の名だたる 製造業は自動車 電機など軒並み大赤字になっている。雇用も失われ 再びデフレの危機が日本にも忍び寄って来ている。