カロリーと栄養の落とし穴
こんな例があります。すき焼きを食べる時、こんにゃくは低カロリーだと言って、肉を避けて、しらたきばかり食べる人がいます。こんにゃくは確かに低カロリー食品ですが、すき焼きに入れると、油を吸いとって、おそろしい高カロリー食品に変貌しています。このようにカロリー計算には、常識では見過ごされている落とし穴がたくさんあります。こまめにカロリーを計算して、自分ではカロリーを抑えていると思っていても、実は思わぬ高カロリー食を口にしていることがあるのです。そもそも食品成分表のカロリー表示は、あくまで単なる目安で、食品により違いが生じるのは当然。お寿司屋さんで電卓片手にカロリーを計算しながらネタを選ぶなんて…やせることなんぞ、できるはずもなく、健康を害するのがオチなのです。在来の食事療法では、糖尿病も悪化するだけ健康食に関する、次のような説を耳にしたことはありませんか。たとえば、「動物油は体に悪いけど、植物油ならいい」「核酸食を摂ると老化を防げる」「牛乳は栄養の王様、しかし豆乳のほうがさらに体にいい」などなど。しかし、これらはすべて間違いです。これらのことを忠実に実践していたら、健康体になるどころか、いたずらに肝臓を痛めつけ、半病人になったり、ホルモンバランスのくずれによる成人病を惹き起こすだけの話です。動物油の取りすぎが体に悪いことはもちろんですが、植物油だってやっぱり同じなのです。しかもバター100グラム・745カロリー、マーガリン100グラム・749カロリーというぐあいに、加工製品によっては、植物油のほうが高カロリーです。また、核酸は自分の体に必要な量を体の中で作りあげるものです。ですから、核酸をたくさん食べたからといって、そのまま人間の細胞の中の核酸になるわけもなく、結局、分解されて尿酸値が増えるだけのことです。牛乳だって、タンパク、脂肪の過剰摂取につながるばかりで、体の中のタンパク質成分や脂肪成分になるわけではないのです。糖尿病の人も、病院などて広く採用されている点数式カロリー計算の食事療法とインシュリン注射を続けていたのでは、本当の意味で「治った」とは言えません。糖尿病自体すぐに生死に関わるものではありませんが、すい臓のインシュリン分泌機能はしだいに低下して、しまいには完全に停止し、長年の高タンパク食によって肝臓もまた痛めつけられてしまうだけです。事実、長い期間にわたって糖尿病で入院加療した人には、肝炎で亡くなられる人がとても多いものです。また1980、作家の新田次郎氏が心筋梗塞で亡くなりました。新田氏は肥満を解消しようとして、低カロリーで栄養満点、健康食品の代表のように宣伝されている豆腐を三食三食摂っていると聞いたとき、鈴木その子先生はまわりの人にこれは危険だと言っていたそうです。なにせ新田氏は、プリンを食べるごとくスプーンですくって、毎食食べていたそうですから。豆腐は上手に食べれば、確かに健康食品といえますが、それも食事全体のバランスを崩さない範囲以内での話です。先生の予感は不幸にも的中してしまいました。もちろん、それが死因のすべてではないでしょうが。無責任な健康常識を流しつづける一部のマスコミには本当に腹が立ちます。肺がんになると百も承知で、「それでいいんだ、好きなタバコで死ぬのなら本望だ」と言って、一日100本以上のタバコを吸って、その結果、肺がんにかかるというのは、本人も納得していることですし、まぁ仕方ありません。しかし、肥満気味だからやせたい、健康でないので何とか強い体にしたい、病気を治したいと願い、そして、間違いだらけの健康常識を鵜呑みにして死に至るのは、本当に気の毒で、見るにたえません。