初体験ってやつだね。
『星空のメモリア』感想 第四回 天体観測愛好サークル、廃部の危機を乗り越えられるか。恐らく、ここが最初のヤマだろう。あとメアに「犬の変態くん」って呼ばれたい。※以下、ネタバレ注意 前回のあらすじ。衣鈴でもメアでも誰でもいいから入部してくれないと、天クル廃部になっちゃうぽい。 【7月14日】約束の土曜スクール。迎えに来る明日歩。「あたしと一緒に、登校しよっ」ずぃっと迫ってくる明日歩の顔。本当に無防備だな…。明日歩は、一度「男子の家に迎えに行く」というのを体験してみたかったらしい。「初体験ってやつだね」無駄にエロい言い方をするな。 明日歩は土曜スクール開始五分で寝て、最後まで寝続けた…。帰り道、眠りまくってご機嫌のはずが、何故か急にしょんぼりし出す。「きーんきーんって鳴ってる……」件の“雨警報”か。これで星見は中止、南星家の喫茶店でノンビリ過ごすことになった。「洋ちゃん、まだメニュー決まらない?」何かソワソワしている明日歩。『かささぎの架け橋』なる謎メニューを頼むと、何故かピザが出てきた。 「種をバラすと、君がどのメニューを頼もうがそのピザが出てきたわけだけど」 マスターによる解説……そうだったのか。要するに明日歩は奢りにかこつけて、洋に自分の手料理を食わせたかったんだな。 この期に及んで、まだバイト先を決めかねている洋。 夜にまた会う約束をして、一度帰ろうとする。「あたしをおもてなしして欲しいな~」明日歩は甘えたいだけらしい…。来週の期末試験に向けて、明日歩の部屋にあげてもらい、勉強を教えていると五分で寝る明日歩。「さすがに無防備すぎるだろ……」まったくだな…。 明日歩が起きた後、望遠鏡を持ち出すために学校に不法侵入する二人。そこには謎の人影が……洋は“都市伝説の死神”かと疑っているが、どう見ても何か筒を抱えた衣鈴だ。 持ち出した望遠鏡と双眼鏡を展望台に運び、明日歩に使い方を教わりながら天体観測。メアは現れなかった。「もしかして、展望台の彼女さん?」いや、彼女によく似た幼女だよ。 【7月15日】千波は鈴葉ちゃんを手懐けることに成功したようだ。衣鈴を堕とすために、まずは外堀を埋めたか……侮れない奴。 喫茶店で、明日歩の手料理をご馳走になる洋。「冷めないうちに食べて食べて」店のメニューの奢りを装っている辺り、積極的なのか、消極的なのか…。やがて姫榊姉妹が襲来し、いぢめられる明日歩。一方、こさめさんにセクハラを受けたこももは、部外者が天クルに参加できるよう取り計らう約束をするのだった……。これでメアを頭数に入れることが出来るか? 勉強を教えて、明日歩はすぐ寝て、起きたら学校に忍び込む昨日と同じパターン。学校にてまたもや謎の人影、というか衣鈴を目撃。なにしてんだろう……まぁ不審度では明日歩たちも互角だが。 展望台で、明日歩の星空案内に耳を傾ける洋。洋は望遠鏡を買うため、南星家の喫茶店“ミルキーウェイ”で働く意志を伝える。 そんな二人の様子を草むらに隠れて見ていたメアは、洋に見つかると逃げ出した。 「俺の友達と、メアも友達になってくれないか?」 「……今、せつなくなった」ほうほう。「胸がきゅんきゅんするのはあなたがいるから」「それはたぶん恋だ」「今夜のあなたもバカバカね」一方、俺の胸がきゅんきゅんするのは明らかにメアのせいであった。一々可愛いんだよちくしょおおお…。結局、明日歩と会う前にメアは消える。幻覚かどうかの判断はつかず。 家に帰ると、千波と鈴葉ちゃんが遊びつかれて寝ていた。「鈴葉がこんなに人に懐くのは、初めてです」人事みたいに言ってるけど、君もいずれこうなると思うよ。 【7月16日】ミルキーウェイに出かける洋に、無理矢理ついてくる千波。「じゃあ明日歩の手料理で」「かしこまりました……あ、あれ?なんであたしが作るって知って……」それはマスターがちくったからだが、そうじゃなくても気付きそうなもんだ。千波は明日歩と同じメイド服を来て、仕事のお手伝い。 「合格だ」マスター、あんたやっぱりメイドフェチなんですか…。 洋は明日歩と千波の家庭教師をして、その後はいつもの天体観測。メアを誘おうとするが、いやの一点張り。 「望遠鏡で星を覗きたくなったら、いつでも言ってくれ。俺は、メアと一緒にいるのが、好きだから」かつて“展望台の彼女”に掛けられた言葉を思い出し、明日歩と千波の元へ戻る洋。 「洋ちゃん……後ろにいる子、誰?」メアがスネた顔でついてきていた。ひゃっほーーーーーぅっ!!「勘違いしないでね……わたしは、別にあなたと遊びたいわけじゃない……死神は誰かと遊ぶなんてことはしない」「ただ、あなたにカマを刺したから……悪かったかなあって、ミジンコくらいは思ってたから。だから、ミジンコくらいの時間だったら、遊んであげるって言ってるの……」 「……充分だよ」 洋はメアの頭を撫でる。 「どうして、こんなにせつないの……」「嫌なのに、嫌じゃない……よく、わからない……わからないよ……」それはたぶん恋だ。「あの……あたしたちのほうがもっとわからないんだけど……」明日歩、空気を読め。……。明日歩にも、千波にも、メアの姿が見えている。メアが幻覚じゃないのは良かったとして……じゃあ何なの?って話になるよ。 メアは、洋が話して聞かせてくれた星が見たいとせがむ。「七夕か?」「うん」満面の笑顔。この時がずっと続けばいいのに…。 【7月17日】学校で、こさめと飛鳥にメアの話をする明日歩。あまり言い触らすものでもないと思うが……まぁこの二人なら平気か。「皆さんで同じ夢を見ていた、という可能性もありますよ」と言うこさめさんだが……皆が見られる夢なら、それは現実と変わらないとも言えるんじゃなかろうか。 問題なのは、それが誰かにとって必要なのか否かということであって、俺にとって間違いなくメアは必要な存在であり、恐らく洋にとってもそうだ。だから、ここまで確認できたなら、もうメアが幻覚かなんてどうでもいいんだよ…。 天クルの勧誘活動に、こもも襲来、こさめさんと岡泉先輩によりこもも撃退といつもの流れ。「とりあえず、地域の交流を目的に、文化部を限定として部外者の参加を認めるための案を提出してみたわ」こももは約束を守ってくれたようだ。 からかうねぎらう ……ここでからかうのは、何か違うだろう。ニア ねぎらう「……ふん」照れた。 廃部までのタイムリミットは一学期の最後。残り六日間。勧誘活動を終えて家に帰ると、千波と鈴葉ちゃんが遊んでいる…。「あ、あの……この前は失礼しましたっ。わ、わたし……すごく失礼なこと言って……」なんと純真な……こんな娘が、いずれ世間の荒波に揉まれて衣鈴のような捻くれ者へと成長するのだろうか。鈴葉ちゃんは「小学三年生」。明言されているので間違いありません、注意してください……という『大悪司』的な警告が頭を過ぎる。 展望台でメアに会う。望遠鏡を持ってきていないと聞いて、不満そうだ…。洋はメアに入部届けを突きつけるが、当然の如く色好い返事は得られず。 「命あるものはいつか死ぬ。形あるものはいつか朽ちる。あなたが言う天クルだって同じでしょう」「そんなポエムはどうでもいいんだ」「……腹立つんだけど」ポエマー扱いされるメア。上手くいかない洋は、岡泉先輩の真似をして無駄に発狂。飛び上がって悲鳴をあげ、激しく怯えるメア……洋なんか死ねばいいのに。「か、噛みつかない……?ま、またやったら、刺すからね……?」「も、もしやったら、今度から犬の変態くんって呼ぶからね……?」それはむしろご褒美だろう。しかし洋の熱意に押されて、メアは入部届けを受け取るだけ受け取ってくれた。 帰り道、望遠鏡を抱いて夜道を歩く衣鈴に遭遇。メアの時と全く同じ台詞で天クルに勧誘するも、今度はまったく上手くいかず。……応用の利かない奴だな。