『君が望む永遠』。思い出に変わるまで。
『君が望む永遠』感想 最終回『君望』の攻略を完了した。長かった……。本当に長いゲームだった……。長い上に、プレイ中はずっと辛かった。誤解を恐れずに言うが、このゲームはちっとも楽しくない。黒くて長くて、おまけにハードだ。一片も残さず忘れ去りたいほどの忌まわしいシナリオもある。恐らくこの先、もう二度と起動することは無いだろうな……。この作品は『リアル・ラブストーリー』を謳ってはいるが、実際にはあまりに悪趣味な展開が多く、極めてフィクショナルな恋愛譚だったように感じる。リアルがあるとすれば、それは主人公「鳴海孝之」の造形だ。こいつはエロゲ主人公に不可欠な若さに不釣合いな度量を持ち合わせていない。過酷の中で苦しむヒロインを救えるだけの力も無く、未来を決める強い意思も無い。むしろモラルに悖る行為も構わず、とにかく辛い現実から逃げようとすること頻りだ。日々を生きるだけで精一杯の、情けなく、みっともない、ウジ虫のようなけったいな生き様は、まるで自分の人生の一部を垣間見ているようだ……。だからこそ、そんな連中が這い蹲りながらも前進し、僅かながらも成長しながら、人並みに生きていこうとする姿から強烈なカタルシスを得ることが出来るのだが…。如何せん、そこに辿り着くまでが地獄の苦行。とてもじゃないが、素人にお薦めできる作品では無い。逆に言えば、エロ、グロ、ヤンデレ満載のモラル崩壊極まった作品であるから、エロゲという舞台には非常に相応しい作品と言えるかもしれないな…。とにかく、歯応えのある作品だった。おかげでアゴが疲れた。少し、休みたい。