『Steins;Gate』。境界面上のシュタインズゲート。
『Steins;Gate』感想Chapter11"境界面上のシュタインズゲート"オールクリア完了。最後が非常によろしくない。ゲーム冒頭とラストの展開を繋げるのは面白いが、繋げ方がやや強引で興醒めした。過剰な説明によって逆にリアリティを崩壊させるという『remembar11』と同じ過ちを再現している。というより、やはりこの作品における選択を伴わない悲劇にはパワーが足りない。最終エピソードを若干醒めた気分で眺めていた俺は、改めてこの作品の真に優れた点がどこにあるのか再確認した。じゃあその優れた点って何かと言うと、それはずばり『選択』の重さの演出だ。このゲームは選択肢を選ぶ代わりに、画面操作で携帯電話をいじることで物語が分岐する。恐らく、このゲームの初期段階のコンセプトに『日本国民にとって最も身近な電子機器である携帯電話を利用してプレイヤーに選択の重さを実感させる』というものがあったはずだ。多分だけど。そして、その試みは概ね成功したと言えるだろう。プレイヤーはゲーム中、いつでもどこでも携帯電話を取り出せる。友人たちからの電話やメールは唐突に着信して、どんな返信をするかある程度自由に選べるし、或いは無視することさえできる。現実世界と同じく、身近な道具であることを繰り返し強調する。そうすることでゲーム内で『選択』する行為に現実世界と同質の現実感を持たせ、それを後の超重要な分岐点の連続においてプレイヤーに手に汗握らせるための布石にしているのである。アイディア勝ち、という印象だ。普段の選択でさえとても楽しかったし、ルート分岐で実際にボタンを押す岡部倫太郎の苦悩も少しはわかった。でも、シナリオに関しては正直期待外れだった。いや普通に面白い。面白いは面白いが、そんな『Ever17』のようにギャルゲーの歴史を変えるほどに力のあるシナリオだとはどうしても思えない。結局のところ、少々期待し過ぎたのだと思う。同じメーカーのループ物という観点で比較すれば、俺は『スマガ』の方により強い好感を持つ。好きなヒロインは椎名まゆり。いいから黙っておっぱいを見せろ俺の世界線ではこの娘がメインヒロインなのに、どうしてここまで不遇なのか。俺はずっとこの娘を守るためだけに戦ってきたのに。これはあれか。「椎名まゆりと結ばれるシュタインズゲートβを己が力で探し出せ」という製作からのメッセージか。なんて残酷なんだろう。セレンよりもまずはまゆりへの愛が足りない製作者をなんとかするべきだ。これはクリス好きな連中の心ない陰謀なのだから。[CD] 花澤香菜(椎名まゆり)/STEINS;GATE オーディオシリーズ☆ラボメンナンバー002☆(初回...価格:2,100円(税込、送料別)